挿し木苗?or接ぎ木苗? | ゆたか農園のブログ

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新規就農した夫婦のブログです。「ゆたか」は妻、夫、息子の名前の頭文字を1文字ずつ取って名付けました。「ゆたか」にはrich、wealthy、fertileといった意味だけでなく、家族3人で力を合わせて頑張ろうという想いが込められています。

朝から断続的に強い雨が降ったり止んだり。そして突風のような強い風が時折吹き荒れています。あれだけ休みたいと言っていたのですし、こんな台風で暴風警報が出ている日に自分でも何をしているんだろうと思いますが、雨の止み間を見て今日もフェイジョアの鉢上げです。

自営業者ってサラリーマンと違って有給休暇もありませんし、休んだから誰かが代わりに仕事をしてくれるわけでもありません。すべて自分の責任でやらなければなりません。そう考えると家の中でボーっとしていることができないんですよね。

 

今年のフェイジョアの挿し木の鉢上げはもうすぐ400本です。鉢上げした苗はしばらくの間、直射日光の当たらない自宅の北側で管理します。日に当てるのは半月くらい経ってからですかね。

 

組織培養という特殊な方法もありますが、果樹苗を殖やすには一般的に挿し木や接ぎ木をします。どちらも古くから人間がやっているクローン技術で、同一品種の苗を増殖する目的で行います。挿し木は目印で地面に挿しておいた木の枝からいつの間にか発根していたなど、なにかの偶然で発見されたのかもしれませんが、接ぎ木を発明した人は本当にスゴイと思います。調べたら3000年前の中国やギリシャですでに接ぎ木は行われていたそうです。ただ、挿し木と接ぎ木は似て非なるもので、栽培する人はそれぞれの特徴を知っておかなければなりません。挿し木が適している果樹があれば、接ぎ木のほうが好都合な果樹もあります。たとえばミカンやレモンなどのカンキツ類。挿し木ができないわけではありませんが、カラタチやヒリュウを台木に接ぎ木することで、丈夫な苗木を作ることができます。リンゴやモモなどのバラ科の果樹も接ぎ木で殖やすのは同様の理由からだと思います。また、柿やポポーなどの挿し木をしても殆ど発根しない果樹は一般的に接ぎ木で苗を殖やします。一方でブルーベリーやブラックベリー、イチジクなどの発根しやすい果樹は挿し木での増殖が適しています。特に樹形がブッシュ状になるブルーベリーは接ぎ木をしても、根元から新梢が伸びてきたらその都度接ぎ木をしなければなりませんので、接ぎ木での増殖はあまり向いていません。

 

フェイジョアは挿し木苗も接ぎ木苗もどちらも販売されています。海外では「挿し木が難しい」という理由から、実生苗(タネから育てた苗)を台木にして接ぎ木で殖やすのが一般的のようです。でも日本で売られている苗は挿し木苗のほうが多いです。日本の育苗農家さんの挿し木技術が高いからでしょうか。成功率はまだまだ低いですが、私も挿し木でフェイジョアの苗を殖やしています。ただ、フェイジョアに関して私は挿し木苗も接ぎ木苗も一長一短だと考えており、以下その長短をまとめてみます。

 

挿し木苗の長所・・・木の根元から出てくる新梢(ひこばえ)もそのまま育てることができる。ひこばえを株分けして苗を作れる。

 

挿し木苗の短所・・・成功率が低い。生長が遅い。

 

接ぎ木苗の長所・・・(充実した台木に接げば)生長が早い。実生苗の台木は、挿し木苗より深く根を張る。挿し木より成功率が高い(?)。

 

接ぎ木の短所・・・台木から出てきた枝は接ぎ木した品種ではなく実生苗の枝なので切除する必要がある。

 

日本で「トラスク」や「マグニフィカ」などの品種は接ぎ木苗しか販売されておらず、私もそれらは接ぎ木苗を買って育てています。しかし、フェイジョアって何年かすると台木から結構枝が出てくるんですよね。その都度台木から伸びてきた枝を切除しなければならず、これがなかなか手間のかかる作業です。それに木が大きくなると、どこが接ぎ木と台木の境なのか分からなくなりますし。このことを考えたら、やはりフェイジョアは挿し木苗の方が良いのかなとも思います。最近はひこばえをそのまま育ててボリュームのある木にすることを推奨している方もいるようですが、接ぎ木苗だとそのような栽培法ができませんからね。それにはやはりフェイジョアの挿し木の成功率が低いという課題をクリアしなければなりません。

 

3年前だったか、フェイジョアの収穫中に誤って「ゴールデングース」の枝を折ってしまい、もったいないからとダメ元で挿し木したところ、13本中10本が成功してしまい、それから私は秋に挿し木をするようになりました。しかし今年はまだスペースがあり、春にも追加でフェイジョアの挿し木をしました。分母がぜんぜん違うので一概には比較できませんが、今年は秋の挿し木と比べて春の挿し木の方が生存率が高いです。やはり春のほうが挿し木の適期なのかと、また気持ちが揺れ動いています。フェイジョアと同様に挿し木が難しいと言われるオリーブ。あるオリーブ農家さんは毎月のように挿し木を行って検証したそうです。私も毎月挿し木をやってみようかしら。