一連の測定が短い期間(例えば同一日)に行われるのであれば特に気にする必要はありませんが、数日に亘って測定するような場合には注意が必要です。特にイオン化法としてESIを用いている場合には!
例えば、ノミナル質量300の成分が保持時間5分に溶出したとして、ある日の測定ではその成分はプロトン付加分子(m/z 301)として観測されたとします。一連の測定が数日に亘って行われ、途中で移動相を新しく調製したらプロトン付加分子よりナトリウム付加イオン(m/z 323)が観測されるようになるという事は起こり得ることです。ここで重要になるのは、ピーク検出の際にm/z 301と323を同じ成分としてピーク検出ソフトに認識させる、あるいは目視でそれを分析者自身が認識する、ことです。この作業を行わないと、m/z 301イオンとm/z 323イオンは同じ成分由来のイオンであるにも関わらず、別の成分としてソフトは認識してしまい、量的変化が起こったという結果が得られてしまいます。
この例では、「m/z 301イオンを生成する成分は後半に測定した試料より前半に測定した試料に多く含まれ、m/z 323イオンを生成する成分は前半に測定した試料より後半に測定した試料に多く含まれる」という結果になってしまいます。
異なるイオン種を同一成分として認識させる機能は、ソフトによっては使用者自らが設定する必要があります(自動で行ってくれるソフトもあると思います)。私は、ソフトより自分の目を信じるので、結果は一つ一つ目視で検証しています。
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エムエス・ソリューションズ株式会社
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引用元:LC/MSデータを用いたメタボローム解析、付加イオンの変化に・・・