http://diamond.jp/articles/-/14527
高橋洋一氏と若田部昌澄氏の対談です。
このなかで若田部氏が実質成長について言及されています。
>本当に経済成長論を研究している人は、そこがよくわかっていて、例えばフィリップ・アギオンというハーバード大学の教授が、経済成長に影響を及ぼす要因をリストアップすると、技術、教育のある労働力、発達した金融市場、柔軟な企業組織、競争的な市場など、いろいろとあるが、やはりマクロ経済の安定性も重要と言っている。
一昔前は実質成長はY=AF(K,L)であらわされ、労働人口が頭打ちになり、生産資本の新規創造額と減価償却費が同程度になれば成長は定常状態となり、以後の成長は難しくなる、との説が有力でした。
現在はY=AKと表わされ、AKモデルなんていう呼ばれ方もしますね。
つまり、生産資本が定常状態になろうとも労働力が減っていこうとも技術力が増えていけば成長は可能である。
内的成長理論なんて呼ばれ方もします。
つまり技術っていうのは新しい設備をドーンと入れたり、凄い技術革新なんてものは必要ない。
労働者が十分な教育を受け、仕事に長く従事することで熟練し、財やサービスをより多く、より良質なものを生産できればいいわけです。そのためには長くその職に従事すること、容易に解雇されないこと、人的資本の蓄積なんて言い方をされますが、そういう小さい小さい努力の積み重ねが生産性の上昇を通して国民一人当たりの所得を上げていくんです。
最後に若田部先生がマクロ経済学の安定が重要と仰っています。
ここが重要です。
不況でもその職を離れず継続してやっていくことが生産性の上昇に非常に重要なファクターになる。
つまり過度な好況や不況がなく、安定した景気を保つこと、または政府が景気の不安定を認めないという声明を出して実際、安定化政策を継続していくことが実質成長に対して何より重要なんです。
実質成長は景気の安定、人的ネットワークの構築、教育の充実が重要であるということは世間に広くは認知されてません。
創造的破壊、イノベーションが大好きな日本人には理解が無理なのでしょうか?