経済成長をするということは実質GDPを増やすことである。
それはそうです。間違いありません。
だからデフレでも問題ない、とか良いデフレとかいう議論になる。
デフレとは財やサービスの値段が下がっていくことだから実質所得は増え、国民は幸福になるという人もいます。
円高でも同じことを言う人がいる。
「円高に乗じて海外の資源を買え!」「海外の優秀企業は円高で割安になっている。M&Aを促進しろ!」など。
この議論の何がおかしいのかって言うと、貨幣の購買力にばかり目が行っていること。
つまり貨幣の購買力は上がっても貨幣の取得が困難になれば貨幣を獲得できない人が増えるわけです。
それは国民全体の幸福にはつながらず、まさに不幸へ陥れることになる。
しかし、上記のようなことを平気で言ってる組織がある。
何を隠そう日本政府と日銀である。
まずは日本政府と日銀はトンデモ経済理論を信奉していることを忘れてはならないと思う。
僕も日本人なので悲しい事実であるが、これは真理です。
名目値の何が大事かって言うと、それは借金などの貸借契約は名目値で行われているからです。
現在、投資や借入などをする主体は金融機関からその時点での予想インフレを加味した率で金利が決められている。例えば100万円借りて1年後に105万円返す計画を立てるとします。インフレ率が2%と予想すれば実質の金利は3%ですね。しかし、経済ショックが起きて需要が激減しデフレにおちいったとすれば製品価格は極端に下がってしまう。しかし、返す金額は105万円のままです。返済は困難を極めます。-1%のデフレになれば実質金利は6%に跳ね上がります。債務者から債権者への所得移転が起こる。これでは経済はガタガタです。
そこでいくら経済ショックが来ても名目GDPが一定に になるように中央銀行がコントロールをしてくれるという予想があれば借入主体は実質金利の高騰に悩まされることはなく、粛々と返済計画を進めていけるわけです。
売り上げ数量が減っても名目GDPが同一の伸びということはインフレ率×取り引き数量が一定の伸びになるから売上高の伸びも一定になるわけです。
じゃー、デフレならデフレでデフレを加味した貸借関係が組まれるから問題ないのでは?と思われるかもしれません。そうですね。それはそうなんですが、問題なのはデフレではそもそも貸借関係が構築されるケースが少ないんですよ。一般物価が下がっていくデフレでは価格が上がる業種と言うものはごく僅かなわけです。借入は膨らみませんね。それは実体経済が成長しない大きな原因のひとつになる。
名目GDPが一定になるように中央銀行が金融調節をしてくれるという安心感は想像を絶するほどの将来に対する不確実性の減少要素になる。
名目値っていうのは大事なんです。