TPP参加がデフレ圧力になると盛んに宣伝されている。
特にTPP参加反対の急先鋒の人たちは「日本の物価は下がって困っているのに、TPPになんか参加してこれ以上日本の物価を安くしていいのか?」と堂々と叫んでおられる。
物価には2種類ある。
個別価格と一般物価である。
個別価格は個別の財やサービスの需要と供給で決まる。
そして多種多様な個別の財をバスケットに放り込み、ガラガラポンして計算したのが一般物価である。
その一般物価の決定は基本的に金融政策で決まる。
所得の上昇予想と実質金利で決まるのである。
つまり可処分所得が50万円の家計があり40万円消費して10万円貯蓄したとしよう。
金融政策に変化がなく所得の上昇予想や実質金利に変化がなければ消費する金額は40万円である。
これは何を意味するかと言うと、TPP参加で安い輸入品が国内に入ってきたとしよう。
その恩恵でおカネが浮く。しかし、消費金額は40万円で変化がないのであるから、浮いたお金は他の財やサービスの需要は増える。例えばおカネが浮いた分、お父さんのお小遣いが増えるとか、外食に行くとか、旅行に行くでもいいだろう。恩恵を受ける業種が必ず存在するはずである。
そしてその業種は非貿易財を扱う業者か、貿易財を扱えば比較優位産業である。
生産性の高い業種の業績が伸びれば日本全体の生産性は上がり国民は豊かになるはずである。
個別価格の低下は明らかに一般物価に影響は与えないのである。
しかし、ここで必ず異論が出る。
デフレの日本は浮いたお金は必ず貯蓄するというものだ。
行動経済学で見れば可能性があるかもしれない。
現在、日銀はエネルギーや生鮮食料品を除外した消費者物価指数でー1~0%に誘導している。
過去の動きから見て、デフレが進みコアコアCPIがー1%を切れば金融緩和する。
いくら日銀でも必ずそうするはずである。
そうであれば消費性向は元に戻るのでデフレを促進することはないと思う。
そして生産性が上がった日本全体の所得の均衡点は必ず上がるはずだ。
確かに日本は現在でもGDPギャップを抱える金融緩和の足りない国である。
しかし、生産能力が上がった分TPPは日本にマイナスの影響は与えないはずである。
TPP参加がデフレを促進すると言うことはない。
インフレデフレは貨幣現象であり、消費性向は日銀の金融政策が決定するのである。