僕は日本が経済成長できない原因を知りたかった。
原因は名目成長してないことだとわかった。
名目成長率=実質成長率+インフレ率であり、名目成長低下の原因はインフレ率が上がっていないことによるものだった。
実質成長は曲がりなりにもマイナスではなかったんだ。
税収=名目成長率×税率×税収弾性値である。
税収を上げるためには名目GDPを上げなければならない。
それにはインフレ率を上げなければならないわけだ。
しかし、ここで僕はわからなくなった。
デフレの方が国民の効用は満足されるのではないか?と思ったからだ。
しかし、勉強を進めてみると、デフレは非常に問題が多いことがわかってきた。
マクロではインフレと失業率はトレードオフであり、ミクロでは企業が利潤を最大化するためには価格が高くなければ雇用を増やすことができないこともわかった。
そして、インフレは円安に結びつき、それが日本の場合では交易条件を改善し、日本人の所得を上げることも。
経済の問題はどちらの見方をするかで、風景が全く違うのだ。
引退世代は所得がないわけだから、年金と資産を取り崩しての生活なわけで、名目の年金額はデフレの進行ほどは下げられない。公務員も、僕のような医療関係者もデフレで給与は上がらないが、その分物価は安くなるので生活は楽になる。
デフレ万歳なのである。
しかし、市場でおカネを稼いでいる現役世代はデフレでは所得が上がらず、失業が増え、特に新規雇用が劇的に減るので若者の失業が増えるんだ。その原因は今いる社員の賃金を減らすことができないためのしわ寄せなんだ。
そして財政赤字である。年金生活者や公務員、我々医療関係者などの賃金は不況でも急には下げられない。
よって財政赤字が積み上がり、ますます将来不安が増していく。将来不安から、日本人は益々貨幣に固執し、消費や投資を増やさない。
結局、日本全国、守銭奴だらけになり、ますますデフレになる。
どちらの応援をするべきか?
答えは明らかであろう。
引退世代の金融資産はたっぷり。公務員、準公務員もたっぷりなんだ。
労働組合に守られた正規社員も生活はデフレでも苦しくはないはずだ。
経済成長の果実はいつの時代もどこの国でも現役世代が受けるものである。
今の日本は政治の向く方向が完全に間違っている。
しかし、政治家は人口のボリューム、集票率から言って、デフレを好む方を向いた方が有利に選挙を戦えることは事実であろう。
しかし、それは日本の長期的没落を意味する。
失業で人的資源が使われない、不況で設備投資をしない。
それは長期的成長に必要な供給力の棄損を意味するからだ。
日本が近視眼的になってはいけないが、長期的成長には緩やかなインフレが必要で、それが人的資本を長期に就業させることにより、人的技術力が生まれ、設備投資の刷新が新たな財やサービスを生む原動力になることを決して忘れてはいけないのである。