短期的な需要ショックが起きた場合、今回のような大震災が起きた時は政府支出は有効な手段である。
これは間違いない。
政府支出が出た。
国債発行によって資金調達すれば、市場や家計や企業はどういう行動を取ると予想されるだろうか?
短期的に一時的に需要の棄損が避けられるのでマクロ的にはその年の国民所得は低下せずに済むはずだ。
しかし、これは毎年継続できるんだろうか?
僕は実際のところ、日本の場合は継続できると考えている。
根拠は三橋さんや広宮さんのブログに詳細に書いてあるので割愛するが、簡単に言うと、経常黒字が継続し国内貯蓄が過剰な状態が続いているからである。
これは明らかに諸外国とは異なる日本独自の現象である。
国内貯蓄が過剰であり、100%自国通貨建て94%内国債である限り、破綻懸念はないと考えている。
しかし、この状態を継続するのは全く良くない。
これ以上の政府支出の拡大にも反対である。
破綻懸念云々など主張するつもりは更々ないが、長期的にこの状態を脱しなければならないと考えている。
国債が発行されれば、必ず増税のアナウンスがされる。
将来、増税されると議論されるだけで、家計は増税をにらんで財布の紐を固くするだろう。
企業も同様であろう。設備投資に慎重にならざるを得ない。
政府支出は通貨の実質金利を上げ、通貨高をもたらす。
円の期待収益率が上昇するからだ。
これは阪神淡路大震災の時もそうだった。
日本の場合は円高は交易条件を下げてしまい、国の経済活動は沈滞する。
そして、そもそも政府がおカネを適切に使えるのか?というのが、疑問である。
政府支出をするなら、個人に直接おカネを渡すとか、エコポイントなど市場を活性化するような使い道がいいだろう。計画経済は死んだのである。官が優秀であるという幻想は持たないほうがいい。、
財政政策はストップゴー政策に陥りやすい。
つまり、今は良くても必ず後で増税という引き締めが来るのである。
そして市場はそれを織り込んでしまうので、継続的な景気浮揚策としては効果的ではない。
財政政策には必ず金融政策がセットでなければならない。
市場の予想に働きかけるように、増税はインフレ率が4%を超えたら施行する、などのコミットメントが必要である。
経済の主体は民間である。
景気対策のカギはどうやって民間が総需要を膨らませるか、に依存しているのである。
民間の予想に働きかける、という意味では政府支出は必ず金融政策とセットで施行しないと副作用が多すぎる。
そして政府支出の中身は官主導ではなく、市場の競争を活かすような支出が望ましい。