日本は歴史的円高である。
このブログでも何度も書いているがそれは日銀がデフレを維持しているからである。
他の諸国が2-3%のインフレをターゲットにしているので、当然なのだ。
それは輸出製品の価格を上げてしまっている。
価格競争力が落ち、外需は風評被害とも相まって激減している。
円で生活している日本人の人件費を高騰させてしまっている。
企業は電力料金の高騰も追い打ちをかけ、日本から逃げ出そうとしている。
一旦、日本から出てしまえば、帰ってくることは至難の業だろう。
しかし、政府も日銀も円高には全く反応がない。
大和総研の試算によれば1ドル105円程度なら、海外と日本での生産によるコストの差はなくなる。
どうしてこのレベルを目指さないのか?意味が分からない。
円高で安い資源を輸入できるので円高は有利な面があるとも言われる。
しかし、果たしてそうだろうか?
貿易の本質とはなんだろうか?
日本には安価で利用できる天然資源がない。
つまり外国から安価な天然資源を購入しなければ国民の生活は成立しないのである。
これを購入するためには外貨が必要だ。
単純に言えば、輸入するためにはその分輸出しなければならないわけだ。
例え、円高で資源価格が安くなってもその対価である輸出が不振であれば日本にとっては国益を失うことになる。
そこで交易条件という概念が出てくる。
輸出1単位で輸入が何単位できるか?という概念である。
日本の場合は円安の方が交易条件が上がるのである。
つまり円安の方がたくさんの外貨を獲得でき、通貨安で割高になっても結局、たくさんの資源を買うことができるわけである。
例えば経常赤字が続いているような国家であれば通貨高の方が恩恵が多いかもしれない。
しかし、日本は円安の方が有利であることは間違いないのである。
これは日本の輸出依存度云々に関係はない。
貿易で他国の富を奪うことで経済が成長する、などの妄言を吐くつもりはない。
日本は資源を輸入するために外貨が必要なのである。
そのためには輸出をして外貨を獲得しなければならない。
日本は世界一の純債権国であるが、経常赤字になることは先輩たちが築き上げてくれた対外債権を取り崩すことに等しい。それは子孫に申しわけないと僕は考える。
せめて経常収支は均衡でいい。
日本の輸出依存度が低いから円高で資源が安い方がいいというのは明らかに間違いであると考える。