経済学は他の学問と違い、身近である。
我々は日々、経済生活を送っているからだ。
ローンの支払い、食費、給与や税金の計算・・・。
自分も含めてだが、専門外の人間がこれだけ高度な学問に言及するなんてことは他の学問では考えられないことだ。
例えば、僕は歴史とか哲学とか文系分野の知識がまるでない。
美術も音楽も文学も何も語ることを知らない。
しかし、経済学財政学はそのハードルが非常に低い。
自分のようなど素人でもそれなりに経済を語ることができる。
居酒屋でも酔ったオヤジたちが経済を語る。
文字通り、俺様経済学なのである。
例えば、１００円ショップに行けば安い中国品が溢れている。
うーん、デフレは安い中国製品のせいだな、フムフム。
タクシー業界が規制緩和により従業員の給与が安くなってしまった。
規制緩和はデフレ要因だ。規制緩和反対！！！
TPPで安い農産物が入ってくればデフレになってしまう。
安売り競争をやめさせよう！
上記はすべて間違いである。
経済入門の本を読めば、間違いだとすぐわかる。
まだまだ、ある。
国債は国の借金である。
日本は１０００兆円の借金があるから、一人当たり７００万円の借金を負っている。
これは大変だ、国債をこれ以上発行すべきでない、もはや限界である。
金融政策は日本はゼロ金利であるので、もはや有効ではない。
これ以上、金融緩和をすれば資源投機に走り、国民生活は混乱する・・・。
国債を現金化すると通貨の信認が低下して、超絶な円安になる・・・ｗｗｗ
何を隠そう、この僕も数年前までまさにそれを信じて疑わなかった。
実際、すべて大間違いなのである。
しかも国民の政治を司るものでさえ、これを正当化している。
財務省然り、日銀総裁然り・・・である。
我々、日本人はとんでもない経済学後進国に住んでいることを自覚せざるを得ない。
経済学を全く役に立たない学問であるとまで言う輩もいる。
確かに、まだ発展途上や修正が必要な分野もある。
しかし、経済学の先達たちの膨大な研究成果を、ろくにわかってもいない輩がトンデモ扱いすることは許せない。
私の専門は透析泌尿器科だが、素人に説明するのは骨が折れるし、すぐ間違った理解をしてしまうので説明に気が抜けない。
どの分野の学問でもそうであるはずだ。
どの分野の技術でもそうであるはずだ。
ろくに勉強もしない奴に浅はかな理解でとやかく言われたくないだろう。
経済学も同じであろう。
僕は経済入門しか知らない。
はっきり言って大きなことは言えない。
しかし、先達たちの研究成果は真摯に理解するよう努力して、現在の経済状況に応用して考えることを肝に命じている。
経済学を語るには自分も含めてもっともっと教科書を読まなければならないのではないか？