その通りである。
しかし、投資の増減が何に起因しているか、彼は言及しない。
実質金利である。
フィッシャーの方程式 実質金利=名目金利ー期待インフレ率である。
インフレ予想がなければ投資は増えない。
何度も書いてしつこいようだが、インフレ予想があれば名目金利は上昇するのである。(フィッシャー効果)
しかし、不況の脱出時は名目金利が期待インフレ率まで上昇しない。
よって実質金利は下がるのである。
復興国債を潤沢に発行し、復興に全力を上げることは必須である。
しかし、公共投資のみで震災復興は成し遂げられない。
金融政策の併用によるインフレ予想、それに起因する実質金利の低下が民間投資を誘発する。
復興には潤沢な民間投資は不可欠である。
政府はそれを後押しするような政策を採用しなければならない。
金融緩和である。
潤沢に市場に資金を投入し、インフレ予想を上昇させることが絶対必須である。
それが民間投資を活発化させる。
中野氏の文章は非常に理路整然としており、彼の優秀さがにじみ出ている。
しかし、惜しむらくは、彼には金融政策の視点がないんだ。
ポール・クルーグマンがリチャード・ク―氏を残念がっていたのに似ている。
「ク―は非常に優秀なのに、金融施策の視点がない」