夢見る親父様のコメントにあったので、今回は金融政策のレジーム転換を考えてみたいと思います。
金融政策のレジームとは枠組みというかルールのことです。
日銀はどういうルールで金融政策を行っているのか?また市場はそれをどう見てるのかが重要です。
日本にはインフレターゲットはないので、総裁の発言や実際のインフレ率が非常に重要です。
そして銀行券ルールです。これが思い楔です。
白川総裁は発言でデフレがデフレを呼ぶデフレスパイラルの可能性があるかどうかが非常に重要であるとしています。山口副総裁も物価の下落がデフレスパイラルに陥らないことが何より重要であると述べていて、今実際起きているデフレに対しては、特に言及しません。
2000,2006年のゼロインフレ下の金融引き締めを見てもデフレを許容していることは容易に推察されます。
インフレへのカギはレジーム転換だと思います。デフレ脱却が本気であると市場が信じるかどうかです。
日銀が白川総裁以下全員交代し、日銀審議委員もすべて交代し、インフレターゲットを宣言し、長期国債を市場から3%のインフレになるまで買い続けると宣言したとします。
金融政策の枠組みが確かに変わったと市場が確信すれば、ここで言う市場って言うのは外為関係者や機関投資家、資産市場参加者ですが、インフレ予想が出ます。インフレ予想を通じてすぐにマネタリーベースが使われるのではなく、手元にジャブジャブにある現預金が動き出します。企業は既に借入主体ではなく貯蓄主体ですから、手元に現預金があるわけです。これが動き始める。ただちにマネーストックが増えるのではなく、眠っていた預金が投資に使われ個人が外貨を買うなどの行為が出てくると思います。これは貨幣の流通速度が増えてきます。貨幣が動き始めるのです。この動きが加速されて現状の資金では間に合わなく立ったときに物価が上がり始め、金利も上がり始める。高橋是清やルーズベルトの時は金利が上がるまで約2年経過しています。
今の日銀の政策レジームではかなりなインパクトがないとインフレ転換は難しいと思ってます。
例えば、今回復興国債の日銀引き受けをしたとします。インフレの芽が出れば、かなりの高い確率で白川総裁は国債を市場に売りつけ資金を吸収するでしょう。いくら政府が財政出動しても日銀がインフレを許容しなければインフレにはなりませんよ。日銀の-1%のデフレ政策は市場関係者は皆織り込んで行動してますから。白川総裁が辞めてインフレターゲットを施行しなければそもそもインフレになるか疑わしいと思います。インフレの芽が出れば摘まれてしまうのがわかってますから、だれも借入など、デフレでは損害を被る確率が高いことはしないですよね。
発行国債の日銀引き受けっていうのは、経済学的には「動学的に不整合な政策」って呼ぶんですよ。
大枠でデフレを許容しながら、インフレを呼び込むような政策のことです。市場関係者はインフレ転換に懐疑的ですから、効果がないんですよ。歴史的に有名なケースでは70年代のアメリカに始まる10%を超えるインフレの時代です。
金融当局はインフレ退治を宣言しましたが、インフレ退治は短期的に失業率が高くなってしまうので、すぐに金融緩和に政策が転じてしまう。だから市場関係者はインフレ退治を信用しない、よって実際もインフレは収束しないっていう悪循環だった時代です。
僕は日銀の金融政策レジームを変えない限りはいくら政府が頑張って復興国債を出しても日銀はゼロ%以上のインフレを許容しないと考えます。特に復興国債などは乗数効果の高い政策になりますから、日銀は売りオペをして利上げをすることは容易に想像できますよね。
復興国債を日銀引き受けにして同時にインフレターゲットを設定しないとデフレは絶対に脱却できないと考えています。