犬と人、いつから関係始まった 「最古の家畜」の歴史を学ぶ | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 このところ猫に押され気味ですが、「最古の家畜」であり、長く関係を深めてきたパートナーと言えるのはやはり犬。犬と人間はどんな道のりを歩み、特別な関係を築いてきたのでしょうか。探ってみました。

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 犬と私たちはいつ、出会ったのか。最も古い犬の骨は、ロシアで発見された約3万3千年前のものだ。旧人の居住跡で見つかった。一方、人間に家畜化されたのは2万~1万5千年前と考えられている。イスラエルのアイン・マラハ遺跡では、高齢の女性が子犬に手を添える形で共に葬られた約1万2千年前の墓が見つかっている。

 日本最古の犬の骨は約9500年前のもの。神奈川県の夏島貝塚で見つかった。縄文時代には番犬や狩猟犬として飼われていたようだ。だが、弥生時代に入ると様子が変わってくる。愛知県の朝日遺跡では犬の骨が散乱した形で見つかり、解体痕もあった。

 麻布大で動物行動遺伝学を研究した外池亜紀子さんは「縄文人は犬を埋葬していた形跡もあり、大切に飼っていたようだ。だが弥生時代に入ると、食用にした形跡が増えてくる」と指摘する。

犬と人、いつから関係始まった 「最古の家畜」の歴史を学ぶ
飼い主に忠実な犬
日本書紀に「犬を食べること禁止」
 日本人のそばには昔から犬の姿があった。ヤマザキ学園大の新島典子准教授(動物人間関係学)によると、早くも「日本書紀」には天武天皇が犬や牛など5種類の動物を食べることを禁じた記録が出てくるという。鎌倉時代になると「犬追物(いぬおうもの)」がはやり、矢で射るための的(まと)として殺傷された。「犬合わせ」と称する闘犬も始まった。

 江戸時代に入ると、徳川綱吉が「生類憐(あわ)れみの令」を出す。犬だけが対象ではないが、綱吉は「犬公方(いぬくぼう)」と呼ばれることに。法政大の根崎光男教授(歴史学)は「犬は安産の神様だったり不動明王の使いだったりするなど、日本人の文化に根付いていた」と話す。

 明治時代には各府県単位で「畜犬規則」が定められ、犬が個人の所有物となった。『犬たちの明治維新』などの著者、仁科邦男さんは「飼い主と犬の個の関係が成立し、この関係が現代にまでつながっている」とみる。

 現代の日本では全世帯の14%が犬を飼っている。推計飼育数は987万匹にのぼる(2016年、ペットフード協会調べ)。
人との生活で進化
 麻布大の菊水健史教授(動物行動学)は、犬のすごさは「人と絆を結べること」にあるという。ドイツのマックス・プランク研究所の研究で、犬は人が指をさしたり、視線を向けたりしたカップにエサがあることを理解できることがわかっている。チンパンジーですら持たない、犬特有の能力だ。

 また、犬は飼い主と目線をあわせる。すると双方で愛情や信頼に関わるホルモン「オキシトシン」の濃度が上昇するという研究が、麻布大から報告されている。オオカミは飼いならされていても、飼い主と目をあわせることはない。

 菊水教授は「犬は人と生活することでオオカミから進化したと考えられていて、あうんの呼吸で、人の意図を理解する能力を持っている。人がこれほど特別な関係を築けた動物は、地球上にはほかにいない」と指摘する。

 スウェーデン王立工科大の研究チームが犬とオオカミのDNAを調べたところ、柴犬(しばいぬ)と秋田犬が最もオオカミに近いDNAを持っていた。背景はまだよくわかっていないが、日本犬の研究から、犬の起源が見えてくるかもしれない。

sippo(朝日新聞社)