「摂食障害」に支援センター…医師、栄養士ら専門チーム | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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1か所で一体的治療 受診先探す患者の負担減


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 若い女性に多い「摂食障害」の治療を充実させようと、厚生労働省は治療や研究の拠点となる支援センターを整備することになりました。

 患者は増えているとみられ、適切に治療を受けられずに苦しむ患者と家族がたくさんいるためです。欧米に後れをとってきたこの病気の治療の大きな進展ですが、課題も残っています。

 ――そもそも摂食障害とはどのような病気ですか。

 「摂食障害は、極端にやせる拒食症と、衝動的にむちゃ食いする過食症があります。拒食症には、食べる量が極端に減るタイプと、食べては吐くタイプの2種類あります。拒食症は、栄養失調などの合併症による死亡率が7~10%と高いことで知られています。成長障害、無月経、骨粗しょう症などの後遺症が残ることもあります」

 ――患者数は。


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 「1998年に当時の厚生省の研究班が病院にいる患者を対象にした調査では、約2万3000人と推定されました。ただ、治療を拒む人が多くいるため、受診をしていない潜在的な患者も数多くいるとみられています」

 「拒食症、過食症ともに若い女性が発症することが多いです。最近は、小学生まで低年齢化する一方、病気が長引くことによって子どもをもつ中年・高齢の女性にも広がっています。男性の患者も増えているといわれています。治療にあたっている医師らは患者は増えていると指摘しています」

 ――なぜ発症するのですか。

 「詳しい原因はわかっていませんが、友人や家族とのトラブル、いじめなど挫折経験が引き金になることが多いようです。完璧主義で、融通の利かない優等生タイプが多いと言われています。やせることを礼賛する社会の風潮も背景にあります」

 ――治療はどのように行うのですか。

 「点滴などで体重を戻しながら、栄養指導やカウンセリングで不安やストレスを取り除く必要があります。時間のかかる地道な治療で、医師や栄養士、臨床心理士らによるチーム医療が求められます。しかし、専門的な治療のできる医師は全国的に人数が限られています。しかも、心身両面からの治療が必要なのに、精神科医、心療内科医、小児科医らが個別に治療している現状があります。治療が充実している医療機関には患者が殺到しており、患者や家族は受診先を探すことに苦労しています」

 「摂食障害は、家族を巻き込むのが特徴です。『わがまま』『意志が弱いだけ』『すぐ治る』などと誤解がありますが、実際には、暴言や暴力、自傷行為に走ることがあるほか、不登校、ひきこもりになる人もいます。家族はどう対応したらよいかわからないまま、振り回され、心身ともに疲弊してしまいます」

 ――支援センターを整備することになったきっかけは何ですか。

 「摂食障害に詳しい医師らが呼びかけ、患者や家族ら2万人以上の署名を厚労省に昨年、提出しました。米国や英国には専門の病院があることから、公的な治療・研究センターの設立を要望したのです。これを受けた厚労省は今年度、既存の5病院を支援センターに指定することになりました」

 「指定の条件は、精神科もしくは心療内科の外来があって、救急医療の体制が整っていることです。地域の医師との情報交換などにあたります。データを集約して、よりよい治療に生かす『全国拠点機関』も1か所指定します。今秋にも指定される見通しです」

 ――これで摂食障害の治療はよくなりますか。

 「初めて国の予算がついたことは画期的なことで、大きな前進です。患者が治療を受けやすくなることが期待されます。ただ、当初10か所指定する予定だったセンターは予算の都合上、半数に減りました。いずれはせめて各都道府県に一つずつ、センターが必要との声は根強くあります」(加納昭彦)

(2014年8月24日 読売新聞)