「1時35分」に何があった…時計250台“一斉停止”の意外な顛末 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 島根県庁(松江市)で昨年12月、庁舎内の時計約250台が真夜中の1時35分頃に一斉停止する“怪現象”が起こった。翌朝、出勤した職員らが気付き、すべての時計が「1時35分」を指して止まっている様子は、「この時刻に何が起きたのか?」と気味悪がられた。時計は間もなく職員らが復旧させたが、当初、一斉停止の詳しい原因は分からず、ネットなどでは「ポルターガイスト現象では?」と話題に。その後の県の調査で判明した原因とは…。

 ■全ての時計が「1時35分」指して停止。無人の庁舎で何が…

 昨年12月16日朝、いつものように出勤してきた県庁の職員らは何気なくフロアを見渡し、おかしなことに気付いた。

 「時計が止まっているぞ」

 関係課への連絡調整などを続けるうち、止まった時計がそこかしこにあることが分かってくる。あそこも、この部屋も…。周囲の壁にかかっている時計はすべて止まっていた。しかも不思議なことに、全てが「1時35分」を指していた。

 「何だ、これは?」。調べて回った職員の一人は思わずこうつぶやいた。あまりの気味の悪さに黙り込む職員もいた。そのうち他のフロアや別の庁舎でも、同じように「1時35分」を指したまま時計が止まっていることが次々報告された。

 広聴広報課の山崎修一課長は「エレベーターに乗る際に(壁にある)時計を見たら、止まっていておかしいと思った。課内で担当課に電話しようとしているうちに、他の課からも止まっているとの話が入ってきて…」と当時の騒ぎの様子を振り返った。

 ■“怪現象”及ばず? 県庁内で1台だけ動き続けた時計

 庁舎内の時計を管理する管財課が調べたところ、本庁舎と南庁舎、分庁舎、議事堂別館の4棟にある時計約250台がすべて「1時35分」を指して止まっていることが分かった。

 前日は日曜日だったが、出勤した職員が正常に動いていることを確認しており、真夜中の1時35分頃に何らかの影響で一斉にストップしたと考えられた。だが前夜に落雷があったとか、停電が起きたといったトラブルは報告されていない。では、なぜ?

 管財課によると、各庁舎内の時計は、本庁舎内にある親機と通信設備でつながり、親機からの信号を受信して時刻が自動設定される仕組みになっている。職員が首をひねったのは、親機が正常に時を刻んでいたことだった。

 管財課の遠藤晴グループリーダーは「親機が止まって信号を送ることができなくなったことが原因ではないと思った」という。

 管財課は、時計が止まってから約12時間後の16日午後1時35分頃、手動で信号を送信させて全ての時計を復旧させたが、原因は分からいまま。騒動はマスコミにも取り上げられ、インターネットなどで「真夜中の“怪現象”」「ポルターガイストか」と話題になった。

 ■バッテリー劣化で信号送れず…騒動のてんまつ、意外にあっけなく

 しかし、その顛末は意外にあっけないものだった。子機に信号を伝達するための親機内のバッテリーの劣化が原因だったと分かったのだ。

 管財課によると、親機は本庁舎の電話交換室にあるが、精密機器のため内部が目に見える形で公開されることはほとんどなく、職員の中でも親機を見たのはごくわずかだという。

 その親機を時計業者が調べたところ、内部のバッテリーが老朽化して電圧が下がり、信号を正常に送ることができなくなっていたのが原因と判明した。親機は、子機約250台と比較して少ない電気で足りるため動いていたという。

 子機はこれまで数分の遅れが生じることはあったが、一斉に止まることはなかった。同課の担当者は「システムは一定の電圧になると安全上、止まる構造でこれまで以上に電圧が下がったようだ。しかし、すべての時計が止まることは想像していなかった」と話す。

 時計は、導入から30年以上が経過しているというが、定期的な点検はしておらず、最近ではいつ点検が行われたのかも分からなくなっていた。

 バッテリーは昨年末に交換。現在、時計は正常に動いているという。「今後はこのようなことがないように点検を徹底したい」と遠藤グループリーダー。

 まさに「幽霊の正体見たり…」だが、時計を全面復旧し、原因を突き止め対策を講じなければならなかった職員にとっては、神経を使った半月間だったようだ。