医療現場「香り」に注目 がん緩和ケアに活用も | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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【志村英司】医療の現場で、「香り」ががん患者らに与える影響が注目されつつある。良い面・悪い面の両方あり、香りで患者の不安を和らげるアロマセラピーの取り組みが始まる一方、香りで頭痛などを訴える患者のため「におい対策」に乗り出した病院もある。

 「5月ごろ、隣の庭からこんなバラの香りがするの。それを思い出すわ」

 名古屋市中区国立病院機構 名古屋医療センターに、がんで入院中の40代の女性は約40種類の香りの精油の中から選んだバラの香りに包まれ、目を閉じる。看護師の竹内淳子さんが、女性の腕に薄めた精油を優しくすり込んでいった。

 同センターは2011年、がんなどの病気の患者らを対象にアロマセラピーを導入した。緩和ケア に位置づけられ、保険診療 の枠内だ。竹内さんは緩和ケア チームの看護師で、週1回、臨床アロマセラピストとして患者らをみる。

 女性は「病院にいると季節感がないし、自分だけが重症じゃないかと思えてくる」と話す。好きな香りで自然と気持ちが前向きになるという。

 アロマセラピーの導入を提案したのは、緩和ケア チームの看護師松野英美さん。薬以外で患者の苦痛を和らげたいと考えた。

 希望する患者の好みを時間をかけて聞き取り、時には香りの調合をせず、ベッド脇で話を聞くだけの時もある。「忙しい担当医や病棟の看護師に代わって患者と向き合えるツール。香りで生きている実感を持ってもらいたかった」という。

 緩和ケア チームのリーダー竹川茂医師(54)は「がん治療 では、患者が『自分はこうしたい』と思う気持ちを持てるかが大事。それを支えたい」と話す。

 約1700人の医療従事者 でつくる「日本アロマセラピー学会」(事務局・東京都港区 )によると、近年、精油の香りの作用についての研究が進み、医療現場でアロマセラピーへの関心が高まっている。学会は昨夏、初の国際会議を開き、秋に緩和ケア に焦点を当てた学術会議を予定する。

 ただ、がん患者にとって香りは「両刃の剣」だ。免疫力 が低下し、周囲のにおいにも敏感になるからだ。