糖尿病専門医に聞く。1日1回と3回の食事ではどちらが太る? | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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筆者は、仕事が忙しい、あるいは休日には食事は1日に1回……ということがあります。しかしながら、「同じカロリーの食事を、1日に1回だけで食べるのと、3回に分けて食べるのとではどっちが太りにくいのだろう?」という疑問が起こります。

そこで、糖尿病専門医の福田正博(ふくだ・まさひろ)先生に真相をうかがいました。


■長時間空腹の後に食事をすると血糖値が上がりやすい

「ずばり、太りにくいのは後者の食べ方です。1日に1,500キロカロリーをとるとして、夕食時の1回だけで1,500キロカロリーを食べるよりも、朝、昼、晩に各500キロカロリーずつを食べた方が太りにくいことが分かっています」と福田先生。

その理由について、福田先生はこう説明をします。
「長時間空腹でいると、そうでないときと比べて、同じものを食べても血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がりやすくなります。

食事をすると血糖が上昇しますが、同時に、上昇し過ぎるのを抑えて血糖値を一定に保つホルモン・インスリンがすい臓から分泌されます。

一方でインスリンは、血液中のブドウ糖が細胞に入り込んでエネルギー源となるための橋渡しや、中性脂肪をつくって蓄えることを促す働きもあります。

つまり、空腹のときに一度に多くの食事をする→血糖が急に上がる→インスリンがたくさん分泌されて脂肪をため込む、ということになります。

食事と血糖、肥満、内臓脂肪の蓄積、糖尿病などを考える上で、このインスリンの働きがとても大切です」

インスリンの分泌を控えるにはどうすればいいのでしょうか。
「こまめに食事すると、血糖値の上がり下がりの波が緩やかになり、インスリンの過度な分泌を抑えることができます。

ですから、1回につき500キロカロリーずつの食事をするほうが、血糖やインスリンの働きを含めて効率よくエネルギーを燃焼させることになります。内臓脂肪をため込みにくい体づくりとなるわけです。

以上の理由で、糖尿病の治療の現場でも、残業やスポーツで小腹がすいたときには、少しの補食(ほしょく。200キロカロリーぐらいまでの食事をする)をして長時間の空腹を避けるようアドバイスをしています」(福田先生)

■1日1食では、自律神経のバランスが崩れる

また、福田先生は、自律神経の働きの上でも、3回に分けての食事を勧めます。
「自律神経には活動モードのときに働く交感神経と、リラックスモードのときに働く副交感神経があります。食事をすることで自律神経の切り替えが行われます。体内時計が調整され、体温を上げて基礎代謝が上がりやすくなります。
1日1食では、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、代謝に悪影響を及ぼして内臓脂肪が蓄積しやすくなります」

さらに、腸への刺激についても説明します。
「食事は腸のぜん動運動を高めるための重要な刺激となります。その刺激が腸の動きを活発にさせ、スムーズな排せつを促します。1日に1回しか食べないなら、1日に1度しか腸に刺激が与えられません。定期的に刺激を与えるため、1日3回の食事が適切なのです」(福田先生)

最後に福田先生は、
「食事のリズムを整えるにあたって最も大切なのは朝食です。朝食だけを1回とればいいのですか? と質問されることもありますが、それでは1食がドカ食いになりやすいのです。満腹だと感じさせるホルモンは、分泌されるまでに20~30分ほどの時間がかかります。それが出てこないうちに早食い、ドカ食いをしてしまうと満腹感を覚えず、カロリーオーバーの食事をしがちになります」
と付け加えます。

1日にこまめに食事をして体の活動のためのスイッチを入れ、脂肪をため込まず排便を促す、というのが太りにくい食事リズムの秘けつのようです。


監修:福田正博氏。大阪府内科医会会長。医学博士。糖尿病専門医。ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。名医として数々のメディアで紹介され、著書に『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(アスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)、最新刊の『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(アスキー新書)は、一般の人対象のヘルシーダイエットの実践法が分かりやすく述べられていて話題になっている。