<尖閣映像流出>領海最前線 「過酷な実情知ってほしい」--石垣海保の苦悩 | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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 尖閣諸島沖の衝突を巡る映像流出事件への関与を認めた神戸海上保安部の海上保安官に対する捜査が続く中、映像を撮影・編集した石垣海上保安部の職員たちには困惑とやりきれなさが漂う。市民からは激励の声が寄せられ、現場の海上保安官やOBたちは「これを機に尖閣諸島の領海警備について考えてほしい」と訴える。国境の海を守る最前線に立つ石垣海保の苦悩を報告する。【関谷俊介】
 「我々は一捜査官でもあるのに、他の捜査機関から事情聴取されるなんて。こんなみじめなことはない」。石垣海保のベテラン海上保安官は事件の展開に唇をかんだ。
 石垣市の庁舎周辺には10日から石垣海保の友好団体によって「私達の安心安全な海を守る石垣海上保安部ガンバレ!!」と、横断幕も掲げられた。中山義隆・石垣市長は「流出ばかり注目されるが、映像を機に尖閣諸島の領海警備について考えてもらいたい」と話す。
 けたたましく鳴るサイレン。「止まれ、止まれ」という叫び声。映像には緊迫したシーンが記録されていた。約30年間尖閣諸島の警備などにあたってきた石垣海保OB(67)は「政府が公開しなかったのがいけないのであって映像は大いに公開して海上保安業務の過酷さを知ってほしい」と話す。
 尖閣諸島周辺では石垣海保などの巡視船艇が24時間警備にあたる。OBは「人員が限られる中、チーム力が海保では大切とされる。映像を見て今後の参考にすることはよくある」と語る。現職の海上保安官は「映像流出を機に情報管理が厳しくなれば、現場の負担も増える」と懸念する。
 OBによると、領海内に外国漁船が停泊していたら警告し、小型艇で立ち入り検査。退去するまで追尾するが「出たと思ったら反対側から別の船が入ってきて、いたちごっこ状態」という。
 01年の海上保安庁法改正で船体への射撃も可能になった。だが、凶悪犯罪の準備が疑われるなどの条件がある。中国の海洋調査船には警告を無視され、わが物顔で調査を続けられることも。「他国でそんな対処は考えられない。きちんと対抗できるよう法整備しないと、尖閣は守れない」
 現職の海上保安官は「紛争に発展させてはいけないという(政府の)要求の一方、領海内に入れてはならないという矛盾があり、現場の保安官は悩んでいる」と語る。「もし、向こうから軍艦が来たらと考えると、ぞっとする」と最前線に立つ恐怖を口にする。
 巡視船艇を整備したことのある元技術者の男性(60)は、逃走する船を先回りして止める訓練で小型艇の船首がよく破損するため、修理を依頼されたという。文字通り体を張った仕事の実態がある。
 中国漁船衝突事件での船長釈放を受け、今後も同様の事件の発生が懸念される中、この男性は「政府は海上保安官の命をどこまで考えているのか。尖閣諸島の現場を見てほしい」と代弁する。