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指先が荒れたり腫れたりして甘皮がささくれ立ち、いつも深爪になっている――。
子どもの指先がそのような状態になっていたら、あかぎれ・しもやけなどの手荒れのほかに「爪かみ」の可能性がある。
「おおの矯正くりにっく」(横浜市)の大野粛英(としひで)院長は長年の治療を通じて、歯並びの矯正に訪れる子どものごく一部に、指先がただれているケースがあることに気付いたという。7歳の女児の場合、足の爪もかんでいた。
「爪かみは幼児期から児童期にかけて見られるが、歯並びへの影響は小さく、多くは成長とともにおさまる。ただ、指先の皮膚が硬くなったり、指が変形したりした場合は、神経性習癖として治療が必要」と話す。
大野院長によると、爪かみが激しい子どもは神経質で緊張しやすいといった性格的な特徴があるほか、親が過干渉だったり放任主義だったりと、親子関係に情緒的な安定がない場合があるそうだ。そして親は爪かみに気付くと厳しくしかりつけ、子どもはますます不安定になり爪かみがやめられなくなる――という悪循環に陥りやすいという。
教育相談に応じている東京学芸大の小林正幸教授は「親は子どもの爪かみを過度に注意しないようにしましょう」と助言する。そして子どもに不安やストレスがあることを理解し、感情を親が代弁するよう勧める。「『宿題が心配なんだね』など、不安を表現してもよいことを理解させる。すると爪に向かっていたストレスを、言葉で表現できるようになる」
また、子ども自身が爪かみをやめたいという意志があるなら、爪かみをしなかった日はシールやスタンプを与える「ごほうび療法」も効果的だ。爪かみをやめると、指先の荒れも自然に解消するという。
「爪かみを家族だけで解決するのは難しい場合もある。スクールカウンセラーなどに相談すると、治療の足がかりを得られるでしょう」と助言している。
(2010年1月28日 読売新聞)