子供の食生活の実態について | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

変なニュース面白いニュース、野球、サイエンス、暇つぶし雑学などなど

http://www.danone-institute.gr.jp/forum/forum07.html

より

慶應義塾大学保健管理センター
南里 清一郎 先生


平成15(2003)年度学校保健統計調査報告書によると、肥満傾向児は、6~14歳で、全国平均値は、男子4.70~11.83%、女子4.57~10.02%である。痩身傾向児は、6~14歳で全国平均値は、男子0.71~3.84%、女子0.88~4.62%である。1977~2002年の年次推移では、11~13歳男女で、肥満傾向児、痩身傾向児とも増加傾向にあり、肥満傾向児は11・12歳男子で、痩身傾向児は12・13歳女子で出現率が高い。このように現在の日本の中学生では肥満とやせが両極化し、男子では肥満、女子ではやせが問題である。ここでは、食習慣に関するコホート研究(富山スタディー)と小・中学生の食事調査から読みとれる肥満・やせに関する我々の知見を述べる。

1.富山出生コホート研究(富山スタディー)
 平成元(1989)年度に富山県下で出生した10,450人を対象とし、3歳、小1、小4、中1の調査(体格、食習慣、生活習慣)結果を解析し朝食欠食の有無から2群に分けた。朝食欠食率は、3歳時25.3%、小1時8.1%、小4時7.0%、中1時12.7%であった。3歳時欠食率が高いのは保育園で朝食を食べている児が含まれているためである。朝食欠食と食習慣では、3歳時から「夜食頻度が多い」、「間食頻度が多い」、「外食頻度が多い」、「インスタント麺を食べる頻度が多い」、「母と朝食を食べない児が多い」それに加え、小1時以降は「ひとりで朝食を食べる」傾向がみられた。生活習慣では、3歳時から「起床時刻が遅い」、「就寝時刻が遅い」、「睡眠時間が短い」それに加え小1時以降は「テレビ視聴時間が長い」傾向がみられた。このように、朝食欠食習慣は3歳時から認められ、その他の食習慣、生活習慣と連鎖し小4以降の肥満を引き起こすことが示唆された。

2.小・中学生の食事調査
 3日間記録法による食事調査の結果、小学生は、高脂質、高たんぱく質、低糖質であり脂質の量・質に問題があった。中学生男子は、高脂質、高たんぱく質、低糖質それにカルシウム、鉄の摂取不足があり、脂質の量・質に問題があった。中学生女子は、高たんぱく質、低エネルギー、低糖質それにカルシウム、鉄の摂取不足があり、脂質の質に問題あった。

3.中学3年生女子の食事調査
 3日間記録法による食事調査の結果、糖質摂取量かつ米飯摂取量の多い群は栄養学的に見て、最も好ましく、糖質摂取量かつ米飯摂取量の少ない群はエネルギー・栄養素不足が認められた。成長曲線を用いて不健康やせ群と非やせ群に分け、また肥満度-10%以下群と肥満度0%以上群に分け、その食事内容を検討した。生活習慣病予防の観点からは、不健康やせ群、肥満度-10%以下群の方が栄養学的にみて優れた点が多かった。しかし、思春期やせ症児の食事は、エネルギー、脂質、コレステロール類摂取量は少なく、脂肪エネルギー比率16.5%、食物繊維31.7gからみると行き過ぎている感があった。
以上の様な知見に基づき、集団食育としては、「朝食を食べる」、「ゆっくり食べる」、「米飯、魚を食べる」、「牛乳を飲む」とできるだけ簡単で長続き出来るような指導を行っている。また、肥満症、思春期やせ症、高脂血症の児童・生徒に対しては、本人と保護者に対して個別指導を行っている。