「小児心身症の予防に関する研究」-摂食障害と中学生のボディーイメージ- | 勇者親分(負けず嫌いの欲しがり屋)

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http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/10672243

小児心身症予防の効果的介入のための基礎資料を得る目的で、摂食障害児20例を対象に面接調査(準備因子、誘発因子、持続因子)を、また、中学・高校・大学生554名を対象に質問紙調査(ボディイメージ、セルフイメージ、摂食障害傾向)を行った。その結果、準備因子として、個人の性格特性(過度に他人評価を気にする)、家族(家族システムを含む)あるいは学校での対人関係の問題が慢性的に持続していた。直接的な誘発因子としては、外面的にはささいなきっかけ(友人からの肥満の指摘、発達段階における要求等)であったが、内面の感情は喪失感、挫折感、自己評価の低下などがあり、抑うつ的で無力感を感していた。持続因子として、患児が体験する達成感や優越感、空腹感や満腹感などの身体感覚の喪失、肥満恐怖やボディーイメージの障害、認知の歪み、自我機能の低下、拒食を通して周囲を振り回す誇示(二次的利得)などであった。中学・高校・大学生のボディイメージ、セルフイメージ、摂食障害傾向については、自己の体重を過大に評価する群(過大評価群)は、適正に評価する群(適正評価群)、よりも自己閉鎖性が高く、身体に対する評価は低く、摂食障害傾向にあることが明らかになった。特に中学・高校生女子において、より摂食障害的な態度が顕著であった。以上の結果から予防的視点として、子ども自身が自己の心理・社会的発達課題を成就できるような養育・教育のあり方(母子関係、父子関係、家族・地域・学校での人間関係)が重要であり、ボディイメージ、セルフイメージの形成期の保健指導の必要性について提言した。