チヌの卵が手に入ったので
チヌは実は雌雄どちらも有する状態で生まれ、先に精巣が発達する雄性先熟の特徴を持つ魚です。
つまり小さな頃は全てオス、大きくなると性転換してメスになるという魚です。大きな個体程メスの確率が高くなる。
本来、産卵期の魚は身質もピークからは遠く及ばず、水産資源としても増える根本を絶つわけなのであまり個人的には両手を挙げて喜べるものでは無いんですが、チヌのノッコミなんかはやっぱり釣りやすくなっているし、それほど水産資源としての価値が大きいわけでもない、なんなら海苔を食べる害魚扱いされていたりなのでまぁいいかなとか思っちゃうんですが、ただ単に卵を煮付けるのは飽きたなぁ…という所。
なので、カラスミにしてみることにします。カラスミは日本三大珍味の一つとされており、買うととても高い。魚卵が決して安くない上に手作業で行われる部分も多く、製品としての価値は跳ね上がるため高級品となるのでこういったものは作るが吉。
本来カラスミはボラの卵を使って塩蔵して干すもの。それが長期になると表面が黒くなってきて中国から輸入される墨(唐墨)のように見える事からその名が付いたとされています。
前書きはそれくらいにして
この時採れたチヌの卵を塩漬けしておきます。

一晩経って…
春の陽気を燦々と浴びて、一気にカラスミらしくなりました。
あれ?これもう食べられるやつでない?
ということで、端を少し食べてみた。
…うまっ。
味はちゃんとカラスミの味がする。カラスミとちがうのは、少し風味にあおさの風味というか、磯の香りというか、決して嫌ではない澄んだ磯の香りが乗っかり、舌に広がる風味がまるでムラサキウニ。
これはもう生カラスミとして完成にしよう。と思いましたが、一応香り付けのために日本酒で拭いて、もう一日だけ干すことにします。ちょっとカラスが持っていくのでは?という不安がありつつも、もう一日干せば大きい方も良い感じに干上がるんではないかなと。
くれぐれもカラスにはご用心。「カラス」「ミ(見)」だけにね。…お後が宜しいようで。





