コンビニでポテトチップスの袋が白黒になっているのを見て、「いつまで続くんだろう」と思ったことはありませんか。
結論から言うと、もうすぐ終わります。カルビーは7月27日の週から、ポテトチップスやかっぱえびせんなど計8品でパッケージ表面のフルカラー印刷を再開すると発表しました。ただ、僕がこの記事で書きたいのは「終わるらしいよ」という話ではありません。
白黒の理由を最後までたどっていったら、自分が11年間やってきた仕事のど真ん中に着地したという話です。
■ なぜ白黒になったのか:袋の色は石油でできている
原因は「ナフサ不足」です。
ナフサとは、原油を製油所の蒸留塔に入れて沸点で切り分けたときに出てくる、沸点30〜180℃の留分のこと。これを800℃超で熱分解(ナフサクラッカー)すると、エチレン・プロピレン・ベンゼン・トルエン・キシレンといった基礎化学品になります。
そこから先が本題です。
•エチレン → ポリエチレン
•プロピレン → ポリプロピレン=ポテチの袋そのもの
•芳香族 → トルエン・キシレン・酢酸エチル=印刷インキの溶剤
食品パッケージの鮮やかな色は「グラビア印刷」で刷られていて、インキは顔料+ワニス(樹脂+溶剤)でできています。この樹脂と溶剤がナフサ由来。だから、ナフサが足りなくなると、まず色が消えるんです。
「食べ物のパッケージの話が、なぜ石油の話になるのか」——つながっているどころか、直結していました。
■ 数字で見る、日本の弱点
調べていて、正直ゾッとした数字がこれです。
◆日本のナフサの実質的な中東依存度 … 約8割
◆ナフサの国家備蓄 … なし(原油は約250日分あるのに)
◆ナフサの民間在庫 … 約20日分
◆影響を受けうる製造業 … 約4.7万社=製造業の約3割
◆価格の動き … 2週間で1トン約670ドル → 約1,100ドル
きっかけは今年2月末の中東情勢の緊迫化と、それに続くホルムズ海峡の事実上の封鎖。原油には250日分の国家備蓄があるのに、ナフサには備蓄制度そのものがない。在庫は20日分。
つまり「値段が上がる」ではなく「現物が来ない」という話です。実際、塗料のシンナーは値上げ、住宅設備は受注停止、そしてポテチは白黒になりました。
さらに厄介なのが代替調達。米国からナフサを買えばいい、という単純な話にならないのは、米国産はシェールガス由来の”軽質”ナフサで、日本のプラントは中東産を前提に設計されているから。量は確保できても、同じ製品バランスにならない。
設備は、想定した原料でしか設計どおりに動かない。 ——これ、熱源設備をやってきた人間には、痛いほどわかる話です。冷媒が変われば、水質が変われば、機械の性能は簡単に崩れます。
■ で、これは僕の仕事とどうつながるのか
僕はこの11年、チラーと熱源設備をやってきました。今は転職活動の真っ最中で、面接では「なぜこの業界か」を必ず聞かれます。
白黒ポテチを追いかけて、答えがひとつ増えました。
「資源を持たない国では、熱と水は地政学に握られる」
•石油化学プラントが減産すれば、そこに使われる冷却水・ボイラ水・水処理薬品の需要も動く
•原料が変われば、プラント内の水質・腐食・スケールの条件も変わる
•そして原料が高く・足りない時代ほど、「回収して使い切る技術」「収率を上げる技術」の価値が上がる
省エネや水回収は、平時には「あればいい」ものです。でも原料が来ない時代には、それが生産量そのものを守る手段になる。
僕が空調の省エネ計算をやってきたのも、水処理やプラント設備の世界に興味を持ったのも、結局これ一本でつながっている。ポテチの袋を見て、そこまで腹落ちするとは思いませんでした。
■ ニュースを”自分の武器”に変える3ステップ(再現手順)
これは面接対策にも、提案営業にもそのまま使えます。
1.「なぜ?」を3回以上たどる — 白黒になった → インキが足りない → 溶剤が足りない → ナフサが足りない → 中東。ここまで来て初めて「構造」が見える
2.数字を3つだけ持つ — 依存度8割/在庫20日分/製造業の3割。全部覚える必要はない。丸めて言える3つで十分
3.自分の専門に着地させる — ここが命。「面白いニュースですね」で終わらせず、「だから自分の◯◯が価値になる」まで必ず持っていく
AIに調べさせるのも、この3ステップの型があるかどうかで結果がまるで違います。僕はClaudeに検索させながら、事実の確認と「自分の仕事への接続」を分けて考えるようにしています。事実は調べればわかる。接続は自分にしか作れない。
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