会社の再編で、自分の待遇が自分の知らないところで決まる。
経験したことのある人なら、あの感覚がわかると思います。私は社会人になってから、それを二度経験しました。
でも先日、10月からの転職を前にキャリアを頭から並べ直してみて、ようやく気づいたことがあります。あの11年、私は何も奪われていなかったのかもしれない、と。
組織の形が、ずっと変わり続けていた
私の職歴を並べると、こうなります。
•日立アプライアンス(2015〜) … 分社化された子会社
•日立グローバルライフソリューションズ(2019〜) … 合併で社名が変わる
•東芝キヤリア(2021〜) … 日米の合弁会社へ
•日本キヤリア(2024〜) … 外資系の会社に
•栗田工業(2026年10月〜) … 単独で上場している親会社へ
転職は二度しかしていません。それなのに社名が五つある。
分社化された会社に入り、合併で名前が変わり、合弁会社に移り、その合弁が外資100%になり、また社名が変わる。扱う設備も、家電・住宅設備から業務用の大型空調へ、そして今度は産業プラントのユーティリティ設備へと移っていきました。
面白いのは、本体からの距離が最初はむしろ遠ざかっていったことです。子会社に入り、再編で組み替えられ、合弁を経て、気づけばグループの外側に立っていた。そこから11年かけて、ようやく単独で立っている親会社にたどり着いた。
上に上がっていったというより、いったん外へ押し出されてから、自分の足で戻ってきた、という感覚に近いです。
自分では真面目に働いていただけです。動いていたのは、いつも私の頭の上のほうでした。
制度が変わるとき、個人の事情は見られない
再編があると、人事制度は統一されます。二つの会社に二つの給与テーブルがあれば、片方に寄せるか、新しく作り直すしかない。理屈としては当然です。
ただ、寄せられる側にいると、話はまったく違って見えます。
去年と同じ仕事をして、去年と同じかそれ以上の成果を出しても、条件のほうが動く。しかも交渉のテーブルには座れません。転籍に同意しなければ居場所がなくなる立場で、対等な交渉なんて成立しないからです。
当時の私は、正直かなり腐っていました。自分の努力とまったく関係のない場所で、自分の生活が決まっていく感覚。あれは今でも思い出せます。
それでも、毎回ひとつだけ残していた
先日、Claudeに自分の職歴を全部投げて棚卸しをしてもらったとき、指摘されて初めて気づきました。
私は在籍した会社ごとに、資格をひとつずつ取っていました。
•日立アプライアンス期 … 第三種冷凍機械責任者(2017年)
•日立GLS期 … 二級管工事施工管理技士(2021年)
•東芝キヤリア期 … TOEIC 705点(2023年)
•日本キヤリア期 … MOS Excel Expert(2025年)
•そして栗田工業期 … 公害防止管理者 水質関係第1種(2027年受験予定)
狙って計画したわけではありません。ただ、居場所の形が変わるたびに、無意識に「持ち出せるもの」を一つ増やしていたんだと思います。
不安だったから勉強していた、というのが本当のところです。でも結果として、それが正解でした。
再編で名刺は回収されます。組織図も、給与テーブルも、部署の名前も、全部向こうの都合で書き換えられる。でも資格証だけは回収されません。
会社が私から取れなかったものが、毎回ひとつずつ残っていた。棚卸しをして見えたのは、そういう11年でした。
だから、2031年までに管理職になる
10月から栗田工業で、石油精製・化学プラントのユーティリティ設備を担当します。そして目標をひとつ決めました。
2031年までに管理職になる。
出世したい、偉くなりたい、という話ではありません。理由はもっと単純で、決められる側から、決める側に回りたいからです。
制度を作る側に立てたら、少なくとも自分の部下に対しては「なぜこの条件なのか」を、自分の言葉で説明できる人間になれる。かつての私が一番ほしかったのは、たぶん増えた給料そのものではなく、その説明だったので。
棚卸しの3ステップ(よかったら真似してください)
1.今の職場でしか通用しないスキルと、外でも通用する「証明」を紙に分けて書く
2.在籍1社につき最低ひとつ、証明を残す(資格でも、数字の出た実績でも構いません)
3.異動・再編・組織変更があるたびに、この棚卸しをやり直す
会社の看板は借り物です。返す日がいつか来る。だからせめて、返さなくていいものを毎年ひとつ増やしていく。
35歳で振り返って言えるのは、それだけです。
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