科学の世界では、一旦論文として発表した成果は公共のものとして扱われる。
なので、その論文に載っているそのラボで開発された他では買うことができない特殊な試薬や資材は、もし他の研究者が分けて欲しいと言ってきた時は、暗黙の了解で譲渡を断ってはいけないことになっている。
だからと言って、ホイホイ簡単に誰にでもあげられるかと言ったらそういうわけにはいかない。
なぜかと言うと、そういった特殊な試薬や資材は開発者のものとはみなされず、開発が行われた施設の所有になるので、開発者個人の独断と偏見で他の人に譲渡することはできないのである。
そこで他人に譲渡する場合は、施設にいる法律担当の人が間に入って、譲渡の契約書を結ぶことになる。
その契約書には「転売・第三者への譲渡の禁止」が必ず盛り込まれる。
しかし、恥ずかしいことに科学の世間一般では、この「第三者への譲渡」が往々にして行われている。
契約があるからといって、僕も偉い人に「お前いいもん持ってるな、俺にもそれ貸せよ」ってジャイアンみたいに言われたら、やっぱり断れない。。。
今日ミーティングをしていたら、なんとうちのラボのメンバーと他のラボのメンバーがこのような特殊な資材を勝手に譲渡し合っていたことが判明。
今回起こってしまったことはもうしょうがないけど、今後はこのようなことが起きないように徹底するようにと指導した。
でも、こういった研究倫理に関することは学生のうちに習っているはずなのだが、あまり浸透していないと言うことに正直驚いている。
なんとも難しい問題だ。
僕一人で全部解決できるとは思わないので、今の僕にできることは、とりあえずうちのラボだけではこのようなことが起きないようにちゃんと管理していくしかないってことだな。
こう言う風に真面目に対応している正直者がバカを見ないような世界であって欲しい。
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