先月の22日から4日間、新潟へ行った。
同行のMちゃんは山岳渓流の映像を撮るために2台のビデオカメラなどを担ぎ、単独で山越えをして目的の渓流を目指し、4日後に出発点で待ち合わせをすることにした。
(出発時のMちゃんで機材や食料などリュックの重量は20kgを超えている。70歳代半ばというのに元気が良いわ。^^;)
私は体力がないので山に入らずに、温泉に行ったり新潟市内で友人と会ったりすることにしていた。
そして私は当てにしていた新潟や新発田のビジネスホテルが満室で泊まれなかったので、二王子山と五頭山の中腹で2晩野宿。^^;
(野宿は山の中腹のこんなところで、シートと蚊取り線香だけ持参でごろ寝。ブナなどの広葉樹林帯なら気持ちよくすごせる。^^;)
そして最終日の朝に下山してくるMちゃんとの待ち合わせ場所に向かい、途中にある顔見知りの食料品店に寄り、冷たい飲み物を購入しようとしたら店の奥さんから遭難騒ぎがあった、と聞かされた。
(ここがその店で、下田河内山塊や御神楽岳を目指す登山者にはお馴染みの店。)
遭難したのはMちゃんか、と焦ったが遭難騒ぎを起こしたのは店の親父さんで、警察、消防のみならずヘリコプターまで出動して大騒ぎになったそう。
しかし、それにはMちゃんが関わっていた。
Mちゃんは私と別れて出発し、天場予定地まで2時間半と見ていたが、予想以上に薮が濃いためにノコギリとナタで薮を払いながら進んだが、4時間かかって進んだのは予定の三分の二程度、残りは緩い登りが続くのでリュックを下ろして空身になって薮を払っている時、少し前方の下方から藪をかき分ける音が聞こえてきたので、人が登ってくるのかなと思っていたら5〜6m前方に現れたのは子連れのクマ。
慌てて笛を吹いたらクマも驚いたのか登ってきた薮を下り始めたので、咄嗟にクマとは反対側の斜面を下って暫く様子を見たが、まだクマがいる気配を感じて動けず、結局はそこで一晩ビバークすることになった。
翌朝、林道に出ようと沢を下ったら見覚えのある滝に出たのでそのまま下り、林道に出て食料品店にたどり着いた。
店の親父さんに事情を話して登山口まで送ってもらう事になったが、親父さんはクマがまた出て危険かもしれない、とリュックを置いたところまで一緒に行く事になり、恐る恐る行ったがリュックはクマに荒らされておらず、無事に回収できた。
熊は一度手に入れたものは手放さないのを知っているから怖かったそうだ。
そして親父さんとはここで別れ、Mちゃんは天場予定地に向かい、親父さんは来た道を戻った。
これで一件落着のはずだったが親父さんは地元民のくせに方向感覚がまるで無し。
戻るルートは途中の尾根を右に下るのだが真っ直ぐに行ってしまい、道型が消えたので左に向かう小沢を下って沢に出た。
普通ならここで道に迷ったのが分かるから下った小沢を登り返すはずだが、この親父さんは沢で大好きなものを見つけてしまった。
それは大きなイワナ。
このイワナは10年ほど前にMちゃんが隣の沢から源頭に運び上げて放流したもので、大きいのは尺を越えるほどに成長している。
それが沢山いて岩の下に逃げ込んだのを手掴みするのが面白く、上空のヘリの音は聞こえていたそうだが、まさか自分を探しているとは思わず、結構な数のイワナを捕まえた後に沢を下って本流に出て、午後5時に下流の部落にたどり着いた。
そこで奥さんから捜索願いが出されている事を聞き、午後6時過ぎにしょぼんとしながら店に戻った。
以上が遭難騒ぎの顛末で、我々2人も警察の事情聴取を受けてから帰京したのだが、大きなイワナのいる沢を見つけられたのが嬉しい、と別れ際に喜んでいた親父さんの顔を思い出すと複雑な気持ち。






























