旅バラエティー番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で、名コンビとして親しまれた太川陽介さんと蛭子能収さん。

 その蛭子さんが2020年に軽い認知症と診断された。

 

 先月、太川さんが蛭子さんと再会をした。

 太川さんが「太川です。覚えている?久しぶり」と聞くと、蛭子さんは「覚えていますよ」と応じた。

 また「バス旅」の話をすると「そんな番組…出てた?」と返事。

 太川さんが好きな競艇の話をすると、「施設では競艇できないもんね。本当はボートやりたいでしょ?」という太川さんの質問には即座に「うん」とうなずいていた。

 蛭子さんはレビー小体病アルツハイマー合併症だそうです。

 

 認知症という病気、ボケたくない、認知症にだけはなりたくないという人がやたらと多い。

 確かに私だって認知症にはなりたくない。でも、うつ病になるよりはずっといいと思いますね。

 うつ病になると暗く悲しそうな顔になり、姿勢も悪くなる。それに比べて認知症はそんな不幸な病気ではないと思います。

 だって、認知症が進むとニコニコするようになります。これは私の母親を見ていてわかっています。

 母親はアルツハイマー型認知症でした。それも重度の認知症でした。

 でも自分が認知症なんて自覚、意識がないのです。

 自分が病気なんて思っていません。

 それに比べて、うつ病は自分の知的機能の衰えに苦しみ、嘆くことになります。

 蛭子さんはもともと笑い上戸だそうですが、太川さんとの話中でも笑い顔を絶やしませんでした。

 ある意味、本人は、どちらかというと幸せになれる病気かも知れません。

 

 私に妹がいます。彼女は母親がアルツハイマー病になったので、いずれ自分もなるのではないかと心配していた時期がありました。

 もちろん私本人も同じで、遺伝するのではないかと思っていた時がありました。

 調べましたら、遺伝と関係はないということが分かりました。

  遺伝以外での発症が9割とされており、遺伝子が関係する認知症はたった1割とのことでした。

 

 でも分からない。いつ認知症の症状が出るかが。

 私のブログで度々終活の話をしますが、この年になると本当に自分整理をしていかないといけないと思うこの頃です。

 

 先日、友人(10月に鬼籍に入った)の奥さんから遺品整理を一緒にしてもらいたいと頼まれました。

 色々整理していると

 「あぁ亡くなるという事は、何も持っていけないんだな」

 と痛感します。

 

 大事にしていたもの。

 現物の思い出。

 何もかも置いて旅立ってしまうのだなぁと。

 

 整理しながらその方の生前の「人となり」に触れますが。

 大事なものは物ではなくその人自身が獲得した思いなのだ。

 その時、自分は何を持って旅立つのだろう?

 

 あなたは何を持って旅立ちますか?