女優の島田陽子さんが亡くなったのは、2022年(享年69歳)。

 知っていました?彼女の誕生日?

 5月17日なんです。私の誕生日と同じ。

 「それが何なの?」ですね。スルーしてください。

 

 渡辺みどりさん、皇室ジャーナリストで有名だった女性、やはり2022年(享年88歳)で亡くなりました。

 この2人に共通していることは、もちろん亡くなった年ですが、今回の問題はそれではありません。

 

 2人とも、誰もその遺体の引き取り手がいなかったのです。

 島田陽子さんの場合、関係者によると、亡くなった直後、区役所などが島田さんの親族へ連絡をしたが、遺体の引き取り手はなかった。島田さんは生前、周囲に「母親が亡くなった後は親族との付き合いはしていない」と話していたそうです。

 

 渡辺みどりさんの場合、生前、「葬儀は不要で、遺体は大学病院に献体してほしい」と話していた。ですが、死因を調べるために行政解剖されたので、献体はできなかった。

 母方に親族がいなかったため、弁護士は父方の親族に連絡をとったが、遺体の引き取りや相続などを「放棄する」といわれた。

 渡辺さんは50代から終活をはじめ、遺言をよういするなどの準備をしていたのですが、いざ亡くなると想定外のことが起きるんですね。

 

 高齢化社会の「今」を映し出しているとしか言いようがない。

 

 この孤独死をしらべていたら、次の記述を見つけました。

 

 「生活保護法(葬祭扶助)では遺族が経済的に困窮している場合、または身寄りがなく、遺族以外の民生委員ら知人などが葬儀を手配する場合に、生前に生活保護を受けていたかどうかに関わらず、遺体の搬送や保管、火葬、読経などの費用などを自治体、国が負担するとしている。また墓地埋葬法でも、だれも葬儀をする人がいないときは、自治体が火葬する義務を負うことが決められており、費用は全額が自治体の負担となる。

 渋谷区の担当者は「詳細は話せない」としているが、関係者の証言では、島田さんもこうしたケースと判断され、自治体が火葬したという。

 

 自治体が葬った遺体、年8,600件

 

 東京都福祉保健局の21年度の統計などによると、自治体が遺体を葬ったケースは約8,600件に上る。5年前と比べると1,500件以上も増えた。22年度は昨年度をさらに上回るペースで増え、身寄りのない人を自治体が葬るケースが目立ってきたという。」

 

 孤独死から無縁遺骨へ。

 

 島田陽子さん、渡辺みどりさん、このケースを見るだけで、1人暮らしの人は、他人事ではないですね。

 

 最後に、コラムニストの森下香枝さんの言葉です。

 

 「死は、誰にもやってくることを考えれば、死は「万が一」ではなく、「万が万」の出来事。いずれ来るその時には、できるだけ他人や社会に負担を掛けず、自分の尊厳も保って永久の眠りにつきたい。  ただ、それがいつ訪れるかは分からないし、楽しい話題でもないので、ついつい「そのうち考えよう」と先送りしてしまっている自分がいる。この連載は、そんな私に現実を見せて 「今から考えよう」と言ってくれている気がする。 今後の連載を読みながら、できるだけ想像力を働かせて、準備しておくべきことを、書き出すことから始めたい。まずは、そのためのきれいなノートを買おう」

 

 60歳代までは何も考えなかった。

 75歳の後期高齢者になってから、周りの友人が2人、3人と亡くなっていくニュースを耳にするようになった。

 本当に「今から考えよう」と背中を押されている。