305号室の男 69 | ★妄想変態恋愛小説★

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「そうか?ならいいけど。言いたいことあんなら言えよ?」



「…うん、ありがとう」



やめよっ、もう何も考えないようにするっ!!



軽く頭を振って、再びバイクに跨った。



「あ、れ…?」



バイクが走り出すと、そのうちに見覚えのある景色が目に映った。



「大事な…場所…」



あたしは数秒、息が出来なかった。



バイクを停め、左之さんがあたしのヘルメットを外した。



「来たかっただろ?」



「総司…」



そこは、総司のお墓がある場所…だった。



左之さんと付き合ってから、何となく総司のお墓に行きづらくなり、お姉さんと会った時に、お仏壇に手を合わせることしかしていなかった。



「俺に遠慮なんか、しなくていいんだぞ?」



そう言ってくれる左之さんは、優しい。



あたしが反対の立場だったら、こんなこと言えたかな…。



きっと、あたしは子供だから嫉妬してしまうのかもしれない…。



左之さんは、しないのかな…嫉妬。



そんな思いで左之さんを見上げた。



つづく…。