「そうか?ならいいけど。言いたいことあんなら言えよ?」
「…うん、ありがとう」
やめよっ、もう何も考えないようにするっ!!
軽く頭を振って、再びバイクに跨った。
「あ、れ…?」
バイクが走り出すと、そのうちに見覚えのある景色が目に映った。
「大事な…場所…」
あたしは数秒、息が出来なかった。
バイクを停め、左之さんがあたしのヘルメットを外した。
「来たかっただろ?」
「総司…」
そこは、総司のお墓がある場所…だった。
左之さんと付き合ってから、何となく総司のお墓に行きづらくなり、お姉さんと会った時に、お仏壇に手を合わせることしかしていなかった。
「俺に遠慮なんか、しなくていいんだぞ?」
そう言ってくれる左之さんは、優しい。
あたしが反対の立場だったら、こんなこと言えたかな…。
きっと、あたしは子供だから嫉妬してしまうのかもしれない…。
左之さんは、しないのかな…嫉妬。
そんな思いで左之さんを見上げた。
つづく…。