人生を大切に刻む人はいい人だ、と思う。 | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

 土曜日、娘がバレーの試合をしているときに、娘の彼氏は野球の練習試合があったようで、そこでホームランを打ったという話は聞いていました。

 

 今日、帰宅したら、テーブルの上に、土に汚れた硬球が。

 ボールに書かれた文字を読むと、

 

  〇〇高校

   ■■ ■■(←彼の名前)

   第5号

  右越本塁打

     対△△

  H30.11.17

  ××グラウンド

 

 そして、そのボールの隣には、もう一つ、同じような感じで「第3号 H30.6.22」と書かれたボールがありました。

 どうやら、その「第3号」のボールは、彼が自分で書いたもの。そして、それをお手本に、「これと同じように書いて」と娘にお願いをしたらしいのです。

 なんだか嬉しくなって、しばらく「なんでこんなに嬉しんだろう」と考えて、「たぶん、こういうことかな」と思うに至りました。

 

 それは、彼が、自分の打ち込んでいる足跡を、大事に刻んでいるということ。

 「第3号」のボールは、一文字一文字、力強い文字で、その時のホームランの喜びを絶対忘れまいとするかのように書かれていました。

 今回の「第5号」は、大好きな彼女(娘)が一生懸命書いたものだから、きっとこれもずっと大切にされていくのでしょう。

 これは、形は違えども、本との出会いや、孫との日々を書き綴っているみなさんと同じだと思うのです。

 彼も、みなさんと同じように、毎日を大事にして、文字に記しているのです。

 

 二人は付き合い始めてまだ3か月。部活の合間をぬって、時々ささやかなデートをしています。

 私は、まだ彼に会ったことはありません。キャッチャーをしているそうなので、きっと体格はゴツいのでしょう。でも、きっといい子なんだろうなと思っています。

 この2つのボールから、彼が、自分の人生を大事に生きているということが伝わってきましたから。