本のらくがき | 出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

出会った言葉たち ― 披沙揀金 ―

「披沙揀金」―砂をより分けて金を取り出す、の意。
日常出会う砂金のような言葉たちを集めました。

20年ほど前に読んだ本を読み返す必要があり、本棚から取り出してページをめくっていると・・・

青えんぴつのらくがきが出てきました。

一瞬で20年前の記憶がよみがえってきました。

 

そのころ、長男は2歳ぐらいだったでしょうか。

私が、よく赤青えんぴつでラインを入れるのを見ていたからでしょう。

私が目を離したすきに、こんならくがきを、何ページかにわたって書き入れました。

 

らくがき─いや、長男にとっては、お父さんと同じく、真剣な「勉強」だったのでしょう。

しかし、私は、大切な本にらくがきをされ、台無しにされた気がして、強く叱りました。

 

今は、この本は、かけがえのない一冊です。

20年前の思い出が刻み込まれていますから。

 

なにかの本で読んだことがあります。

 

  大人は勝手だ。

  子どもに「早く大きくなれ。」と願いながら、

  いつからか、「ずっと子どもでいてほしい」と思うようになる。

 

あのころ、私は、

「早く子どもが手を離れてくれれば、自分の時間もできて、もっと楽になるのにな。」

と思っていました。

 

でも、今は、できればもう一度あのころにもどりたい。

べたべたと近寄ってきて、邪魔ばかりしていた我が子の成長を

もう一度見届けたい。

そう思います。