多分、奥さんと一生の思い出になっているワイン。
二人で一番飲んできたワイン。
本当に久しぶりに飲んだ。
僕らの歴史が詰まった味だった。
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先日、オーストラリアから奥さんの友人が来ていた。
関西人なので、三日ほど、うちに滞在して、僕の奥さんと一緒に都内各地を観光して回っていた。
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オーストラリア時代にもよく僕の家に来ていた人なので、うちの事は色々よく知っていて、その時代、我が家で一番よく飲んでいた白ワインをお土産に買ってきてくれた。
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当時、休日のランチは、
冷やした白ワインと、パン、サラダ、サラミ、チーズ、オリーブ、なんて事がとても多かった。
最初の頃は、多分、ああ、海外に住んでるなぁ、なんて高揚感もありつつそういう食事をしていたように思う。
そんな自分達がカッコいいなんて気持ちもあったような・・
10何年もそういう生活を続けていると、流石に、それがものすごく当たり前になっていって、チーズとサラミとパン、は、漬物と納豆とご飯、みたいな感覚になって行ったのです。
チーズとサラミ、は、日本に比べて値段も安かったしね。
で、当時、よく飲んでいたワイン。
ニュージーランド、マルボロ地方、
Oyster Bay というブランドの ソービニヨン・ブラン
おそらく、オーストラリア時代一番たくさん飲んだ白ワインだと思う。
当時、1本12ドル、くらいだった思う。
イメージでは1200円、って事だ。
お客さんが来る時じゃなくて、二人の時、一番、普段使いとして飲んでいたワインだ。
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実は、日本でも売っているので、飲んだことがある。
ところが、、、何かが違うのだ。
よく船便で輸入されるとダメになる、ような話を聞くが、実際のところはわからない。
2回ほど買って飲んで「違う」と思って以来、飲んでいない。
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だから「僕らが知っているOyster Bay」はオーストラリアを離れた、2013年以来飲んでいない。
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2014年から2018年まで4年間、毎年、オーストラリアには行っていたけど、その時は、みんなが奢ってくれるし、せっかく来たのだから、と、自分達もちょっと高めのワインばかりを飲んでいたから、Oyster Bayは飲んでなかったんだ。
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今回、友人が、いつも飲んでいたから、と、Oyster Bay を持ってきてくれて、、日本で飲んで「違う」と思った記憶もありつつ、でも個人で間違いなく飛行機で持ってきたものなんだから、という期待を込めて、当時、ゴールドコーストでランチに食べていたような、食卓を作ってみた。
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仮に、イメージの違う味だったとしても、そもそも10年以上飲んでいないワインだし、その間に日本で暮らしてきた味覚の変化もあるだろうし、あまり期待せずに楽しもう、なんて、夫婦の会話もあり、で、飲んでみた。
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グラスを口元に運んだ時点で、
どーんと鼻の奥まで染み渡る、ソービニヨンブラン特有の、華やかな葡萄の香り。
奥さんと二人、うわー、、、って顔を見合わせてしまった。
飲んでみて、二人でちょっと固まった。
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これだ!
間違いなく、あの頃の「Oyster Bay」だった。
ちょっと涙が出るような味だった。
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決して、すごく高級なワインの味じゃない。
1200円だもの。
でも、僕らが、週に一度は飲んでいた、
一番のスタンダード。
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日本に帰ってくるなんて、考えもしていなかった、
このままずっとゴールドコーストで生きていくんだろう、
って思っていた、あの頃。
昨日の、まるでゴールドコーストみたいな、すこぶる爽やかな天気も相まってか、、、
いつの間にか、普通日本人が食べないようなランチが、いつもの定番になっていたあの頃の食卓そのままが蘇った。
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久しぶりに、ワインにすごい感動しました。
舌って、覚えているものなんだね。
正直、同じ味がするのかどうか、わからないけれど、
「違う」と思ったあれから時代も変わっているし、
店も違うのだし、一度買ってみようかと思ってる。
やっぱり違うな、と思ったら、
それはそれで、
あれは、オーストラリアで飲むか、
自分で買ってくるかしないとダメなんだ、ってことでそれでいい。
二千円くらいみたい。
これです。
ちなみに、Oyster Bay には、シャルドネ、とかもあるけれど、
このお話に出てくるのは、
ソービニヨン・ブラン です。