舞台公演中、二回だけ、アフタートーク、がありました。
一回目はウクライナから、二回目はシリアから、の難民の方をお招きして、と言うものでした。


今回は、まず、一回目の話し。
   

  
ロシアのウクライナ侵攻、をテーマに据えた舞台ですから、
制作の中でも、ウクライナ難民として日本に滞在している方からお話しを聞いていました。
残念ながら、僕が稽古合流する前なので、僕はその時はお話しを聞くことはできませんでしたが、
公演中にも、お客様に、この問題について、難民についての理解を深めていただきたく、お話しを聞かせていただく機会を設けました。

ウクライナ難民のマリアさん。


 
お話しは、やはりあまりにも理不尽で、あまりに残酷で、会場には涙する方も多くいらっしゃいました。  

      
「戦うことを諦めてしまったら、私たちは、母国、をこの世界から永遠に失うのです」
       

26歳です。
26歳、僕からしたら、26歳の女の子、です。
その口からでる言葉がこれでいいのか、世界はこれでいいのか、と胸が締め付けられました。
   
僕が今、毎日当たり前にみている、今の自分の地元、
27日には、用事で一度帰りますが、埼玉、桶川、
     
僕の故郷や、僕の日常は、今も、普通に平和にそこにある。

   
マリアさんは、26歳で、そういう日常を失って、そして、これが続き、ウクライナが負けてしまったら、永遠に祖国は歴史に葬り去れられてしまうのだ。

と言います。 事実そうなんです。
恐ろしいことです。自分の国が「無くなる」んです。


僕は、どこかでね、

国なんかなければいいんだ、っていう思想を持ってる。
国も宗教もなければ戦う理由がなくなる、

ジョン・レノンの、イマジンの、思想です。

これ、全世界の全ての人が、本当に全員でそう思わなければ、実現不可能なんですね。
だから、結局のところ、人類、という枠だけで考える理想、でしかない。
   

  
現実に、自分の国が消え去る危機の中で生きている人たちに、どう向き合えばいいのだ。
と、26歳のマリアさんを前に、甚だ情けない思いをした日でした。

ただ、、、

公演後、僕を見つけたマリアさんが、真っ先に言ってくれたこと、
それは、もう、ただ、26歳の女の子に戻った表情で、、
   
「音楽が素晴らしかった。そして、ウクライナ国歌、発音が難しかったでしょう
  本当にウクライナ語のウクライナ国歌でした、ありがとう」
    
舞台中、ウクライナ国家の、さわり、を歌う場面があります。
芝居上、フルコーラス歌う尺はないけれど、せめてさわりだけでも、と。
(ウクライナ国歌、長いんです、というか、君が代、が短いってのもあるんだけどね)
   
国歌を、歌い始めて途中までしか歌わない、ってのは、どうなんだ、って思ったけど、舞台の性質上仕方がない。

だから、せめてもの敬意を払いたい、と思い、いくつもの動画をみて、発音をめちゃめちゃ練習したので、、
マリアさんが、そこを拾って喜んでくれたのは、本当に嬉しい事でした。
   

   
日本は平和で本当に素敵な国。   
日本で、ウクライナに関するものや、水色と黄色のカラーリングを見ると、嬉しくなる。
今起こっていること、をどうぞ忘れないで欲しい。
  

マリアさんが語ってくれたこと、衝撃的な内容も多くありました。

  

これから、僕ら日本人が、この問題とどう向き合っていくのか。
   
対岸の火事と思うか、そこから、なにかを学ぼうとし、協力を惜しまずに関わっていくか、
で、僕らの国、日本の未来はおそらく変わっていくだろうと思います。
 
1日も早く、1秒でも早く、ウクライナの人々、関わる全ての人に、平穏が訪れますように。
まず、せめて祈ること。そこからはじめようと思うのです。