4月の半ばから、久しぶりに本を読んでいる。
  
紹介したい、と思いつつ、この本をどう紹介していいのか、
どう話せば、どう書けば素晴らしい小説だ、を表現できるのかわからず、誰にもお薦めをしていなかった。
中身を一切話したくないからだ。
    

ミトンとふびん   吉本ばなな
   


目の調子が戻ったらまず読みたい、とずっとデスクの横に置いてあった。
55歳にもなって、ちょっと恥ずかしいけれど、久しぶりに本を読んで泣いた。
 

あれ??  なんで??

って感じで泣いた。
   
   

そもそも、小説や映画、を紹介するのに、中身をバラしてしまうような事をしたくない。
あらすじをネタバレしてしまう、なんてストレートなご開帳はもちろんだが、
そこにある、雰囲気とか、そんなものも含め、話したくない。
  
特に、この小説に関しては、そこに漂う空気とか、感じられる全てを、なにもない状態から触れてほしい、と思ってしまう。
僕自身、決して、さて、どういう小説なんだろう、と身構えて読むような事はしないけれど、でも、前情報を入れてしまうことに抵抗がある。
だから、この本を知って、買って、読むまでにずいぶん時間があったけれど、楽しみにしているからこそ、書評や広告など一切チラリとも見ないで読んだ。
       
そんなだから、この小説の、どこがどうよかった、どのように心に響いた、などの全てを語りたくないわけで、それで紹介なんてのはできるわけがない。 
   
だから、言える事があんまりない。
なにか言えるとすれば、、

ゆっくり読んでほしい。
丁寧に、丁寧に、一行、一行、一言一言。
文字だけで綴られた世界の中に、自分が溶け込んで行くような感覚が味わえるから。
  
文字、が、人の心の中に創り上げられる物、
僕にとっての「ミトンとふびん」
読んだ人全ての中でだけ現れる、再生される「ミトンとふびん」があるはずだ。
    



で、、、、、
これは、もう全然話していい事だし、だいたい、みりゃ、わかる事なんで、
この本の素敵な事、ひとつ。


画像を見ていただいてわかると思うんだけど、、
書籍の形が、ちょっと普通ではない。

横に、
  
吹上奇譚 第三話 ざしきわらし
   
を置いて見る。
 


吹上奇譚シリーズは、一般的な単行本の形、大きさですね。
   
ミトンとふびん は、ちょっと正方形に近い形で、横幅も大きめなのです。
    
で、、実は、読んで見るとわかるんだけど、この形すごく読みやすい。
そして、装丁の美しさも相まって、なんとも可愛らしい本なのです。
装丁って大事だなぁ、って思う。
 
内容だけ、読むだけ、の話なら、文庫本でも十分だけど、
持っていてうれしい、っていう部分もやっぱり単行本には大事だよねぇ、、、


ミトンとふびん、読んで、今、冷静に考えると、
こんな小説家に、LPレコードのライナーノーツ書いてもらった、ってすごいな俺様、と思ってしまうのです。
えへへへ。
          
残念ながら、というか、ありがたいことに、というか、
限定品、というわけでもなかったんだけど、売り切れてしまって、今から手に入れてもらうこともできないけれど、、
    
昨年発売した、僕のLPレコード「イコン」
  
夢だった、アナログLPレコードを作る、という事で、恐れ多くもばななさんにお願いして、ライナーノーツを書いていただいた。
それも、30センチ四方の用紙に、びっしり。

なんだろう、人生って、宝物でできてるなぁ。




ミトンとふびん
 

 

       
   

ゆっくり時間を作って、ゆっくり、ゆっくり、読んでほしい本です。
読んでほしい、っていうか、、

出会える人は、出会うだろうな、
っていう、美しい景色のような本。
     
    
アマゾン、楽天、で買えるリンクをつけといて、なんだけど、、、
できれば、書店で買ってほしいなぁ、、、と。
まあ、これは、僕の勝手な嗜好なんだけど、、、
   
特に、小説は、本屋さんで「本を買うところ」から始まってる気がして・・・・