私は私の好きな人が

自分を好きではないと知ったなら

私の好きな人が他の人を好きと知ったなら

自らその人から離れる

 

とある人との会話でそう話した

 

その人は、あなたの気質が女王様だから

プライドが許さないから、

そうするのでしょうと言った

 

それは的外れな推測だ

私を想わない人に執着しても仕方がない

 

他人の心は変えることが出来ない

私はどんなに苦しくとも悲しくとも

その想いは自分の心の中で処理をする

 

そのようになった原因は私の育った

家庭環境にある

 

私の両親は私の物心がつく頃から

いつも喧嘩をしていた

 

母は父に対して激しくののしる

父はそんな母に嫌気をさして

どこかにふらりと出て行く

 

そんなことが繰り替えされ

夜の食卓は父がいないことが殆どだった

 

母の父に対するののしりは

父に対する不満の爆発だった

母は愛情飢餓から強く父を求めた人だった

 

でも父が母に愛情を注ぐ姿を

私は一度も見たことがない

 

母は父を憎み

70歳で自らその命を絶つ時まで

父をののしり続けた

 

母の狂った心の刃は自分の母親にも

晩年は向けられた

 

鬼の様な顔で日々私の祖母をののしり続けた

 

そんな母を私は嫌い

こんな女にだけはなるまい

いつからかそう心に強く誓っていた

 

母は父から思いやりのある態度で

接して欲しかっただけだったのだろう

 

しかし父は家族に対しては

ほぼ無関心な人だった

 

父は母の思うようには決してならなかった

 

母は自分の態度がどんどん父を遠ざけたとは

思ってもいなかっただろう

 

もしかしたら母が優しき妻でも父は関心を

向けなかったのかもしれないが・・

今となっては確かめようもない

 

 

 

 

私が高校を卒業して、進学のために

上京するまで、私にとっても父の存在は

ないようなものだった

 

19年間、私は母の暴力と父の無関心が織りなす

カオスな家庭環境に身を置いていた

 

母の暴力は父に対するののしりだけではなかった

いちいち反発する私に対しても常に向けられていた

 

私は母が死ぬほど嫌いだった

私の心はもちろん死んでいた

 

自分にはどうすることも出来ない無力感

こんな世の中に生きていたくない

子どもの頃に感じていた痛み

 

それがずーっと続いていたことに

気づいた今日の会話だった

 

たわいもない会話から自分の

無意識の中の気持ちに気づく

 

この無力感がどこから来るのか

分からないところから

気づくことで

一歩前に進むことが出来る

そんな気がしている