■大失敗に直面する、とは

アルフレッド・アドラーは、

大失敗をして初めて深く考えるときは、

個人的な優越感の追求ではなく

人生の課題を共同体感覚によって

解決しようとするときだけ

と指摘しています。

 

大失敗をした、と感じたときに、

深く考えるようなときは、

個人的利益の追求

(生きるのに役に立たない道)ではなくて、

人生の課題を共同体感覚を発達させること

(生きるのに役に立つ道)で

解決しようとしているとき、

ということです。

 

個人的利益の追求とは、

自分だけの利益のばかりを求めて、

他者の利益などどうでもよい、

とすることです。

 

もっといえば

自分さえよければ、他者はどうでもよい

ということです。

 

そうしている限りは

大失敗の事態となってもすぐに

自分の利益のことばかりを考えるため

”深く考える”ということはないのです。

 

反対に、

今までの自分に問題があると感じて

”深く考える”ことをするようなときは、

自分の関心は自分ばかりではなく

他者にも向いており、

相手の身になって考えたり感じたり

するのです。

 

そこでは人生の課題に向き合い、

共同体感覚を発達させることで

解決しようとする、

すなわち、

「自分は悪くない」を選ばずに

「自分の何が悪かったのか」を選んで

自己改革によって他者貢献する自分に

なろうとするのです。

 

それは

相手のよろこぶ顔がうれしい

みたいな気持ちになる、

ということです。

 

なお、人生の課題とは、

誰もが直面する課題であり、

これらを解決できると

それだけ人生の感じるしあわせが増える、

というものです。

 

そしてそれは、次の3つです。

①交友の課題

②仕事の課題

③愛と結婚の課題

 

■大失敗までの経緯

大失敗に至るまでには

経緯があります。

 

その経緯とは、

失敗するが修正される

というものです。

 

アドラーは人生についての考えを

「ライフプラン」と言っていますが、

大失敗ではなく失敗くらいでは

ライフプランは変わらないし、

変える必要性を

なかなか感じられないのです。

 

たとえば赤ちゃんを例にすると、

赤ちゃんが他者との調和という視点から

役に立たないことをしたとしても、

周囲の人が簡単に修正してしまいます。

 

料理が乗ってるお皿を

ひっくり返しても、

周囲の大人は「何やってんだよ!」

みたいに怒ることはせずに、

まだわからないからしょうがない」として

簡単に修正するでしょう。

 

同様に、

「子どもだから、まあしょうがない」とか

「小学生だから」

「中学生だから」

「まだ高校生だから」

「まだ未成年だから」

「まだ20代だから」

「まだ30代だから」

「まだ新人だから」

「まだ経験少ないから」

などなどの理由で修正されることも

よくあります。

 

個人的利益の追求に忙しいうちは

ライフプランの変更などは

まるで興味がないのです。

 

しかし、大失敗して、

孤立を味わうと、

「自分の何かがいけないのかも...」

みたいにライフプランの変更の

必要性を感じたりします。

 

そのときは

人生の課題を共同体感覚によって

解決しようとしている、

というわけです。

 

そうした経緯があるのですが、

本人が個人的利益の追求ばかりで

生涯を終えるようなときは、

大失敗したと感じることなく

生涯を終えることになります。

 

それは人生の課題を解決しないので

感じるしあわせが生涯において

限定的であったことになります。

 

それが人生のどこかで

大失敗したと感じて

人生の課題を共同体感覚によって

解決しようとして、

解決できたとしたら、

感じるしあわせが増えるので

次元の違う幸福感を感じられるのです。

 

■ライフプランの構成と革新

ライフプランとは

人生についての考え、のことです。

 

自分なりの人生の解釈、

ともいえます。

 

そのライフプランは、

事実ではなく

事実についての意味付け

できています。

 

例えば、

希望の会社に就職できなかった、

という事実があるとします。

 

そのために

自分はその会社に嫌われている

意味付けをすると、そうなります。

 

事実としては

「その会社は自分を採用しなかった」

というだけであり、

相手方がどういうことを思ったのかは

わかりません。

 

そこで、

自分はなぜそのように思ったのか、は

明解です。

 

そう考えることが

今の自分に都合がよいからです。

 

アドラーはこれを

次のようにまとめています。

 

事実に合致した考えを形成することは、

次の3つに依存している。

 

①経験が不完全であること

②自分の考えに矛盾がないこと

③自分の考えに沿った行動が成功すること

 

経験が不完全であること、とは、

上の例では、自分のことはわかりますが、

相手方では何があったのかはわからないため、

経験したことのすべてを把握できている

わけではない、ということです。

 

自分の考えに矛盾がないこと、とは、

そう考えることが都合がよいから

そう考えているので、

そもそも矛盾することがない

ということです。

 

自分の考えに沿った行動が成功する、とは、

「自分はその会社に嫌われている」と

考えて行動することで、

欲しい気持ちなどの成果が得られる、

ということです。

 

これら3つの要素が

ライフプランが事実についての意味付けで

成立していることを支えているのです

 

すなわち、

このことが理解されていれば、

個人的利益の追求ばかりではなく

人生の課題を共同体感覚によって

解決する道へ進むことの機会を

得られます。

 

自分のことばかり考えていると

「悪いのは他者」となりますが、

上記①~③が自分にあると知っていれば、

ライフプランに支配されることなく、

ライフプランを今の自分にとって

最も生きやすい形に意図的に

革新していくことができるからです。

 

 

 

 

 

お読みいただき、

ありがとうございます。

 

プロコーチ11年目、常楽でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「男性優位社会を知る」シリーズ

 

 

結婚は”女性の役割”との和解ではない

~36歳の女性の例に学ぶ シリーズ(全6回)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ACE COACHING's Services here