今回は認知症の問題行動対処法ちょっとしたコツを

お伝えしていきたいと思いますウインク

 

 

 

 

第9回認知症高齢者に合った施設選びの回でも、

施設によっては要介護度や条件はクリアしていても問題行動がみられると

入所を断られるといったケースがあることをお伝えしました。

 

 

今回はその「問題行動」について勉強したいと思います。

 

 

 

 

認知症の症状が進むと度々みられる困った問題行動。

介護する側はついイライラしたり、時には自分を責めてしまったり、、、

 

しくみを理解したりちょっとしたコツを知ることで、余計なイライラや介護うつに悩まず、

介護する側もされる側も笑顔で過ごせるかもしれませんよね。照れ

 

 

 

認知症の症状は脳の機能低下(機能障害)に起因する中核症状と、

それを取り巻く周辺症状(BPSD)の2つがありましたね。

第1回 認知症、初めの一歩。をおさらいする

 

 

実際に何らかの原因で脳に障害がおこり(アルツハイマー型であれば脳の萎縮などであるし、血管型であれば脳の障害部分)記憶障害や、見当識障害などの中核症状がみられ、

それに伴いBPSDが起きるのでしたね。

 

 

BPSDには次のようなものがありました。

「徘徊」「暴力」「暴言」「不安 落ち着かない」「イライラ」「抑うつ」「不眠」「妄想」「食行動異常(異食)」「拒否」などが挙げられます。

 

 

 

脳の障害で理解できなくなった事柄への認知症の方なりの対応ともいえるかもしれません。

意味がないように見える行動でもご本人には意味のある事なのかもしれないのです。

ですから、真っ向から否定しては余計な混乱を増やしてしまうことになるのです。滝汗

 

 

介護者側からみればどれも問題行動ですが、先ほど申し上げたように、本人からすれば

妥当な対応であるわけです。

 

BPSDは大きく分けて3つのタイプに分類します。

「葛藤型」・・・介護される現実を受け止められず、情緒不安定でイライラし暴力暴言を振るいやすい

 

「回帰型」・・・過去の自分に戻ろうとし、見当識障害と「徘徊」が主な症状

 

「遊離型」・・・現実逃避し、自信や意欲を失い、無気力で殻に閉じこもりやすくなる

 

 

 

これは竹内孝仁氏の「介護基礎額学」という本で紹介され、竹内三分類と呼ばれています。

全ての人がこの3タイプに分類できるわけではないと思いますが、参考までに、試してみることでその方特有のタイプが見えてくるかもしれません。

 

認知症の症状、問題行動への影響、問題行動の原因は千差万別です。

これに当てはまらないことも十分に考えられます。

 

 

では、それぞれのタイプ別特徴や対処のコツ見ていきましょう。

 

葛藤型への対応

葛藤型は、社会で高い地位にいたようないわゆるプライドの高いタイプの方がなりやすく、老いた現実の自分と、自分自身の考える自分のイメージがかけ離れてしまい、なんとか前の自分を取り戻そうと、もがいているタイプです。

 

情緒不安定・暴言暴力・被害妄想がみられることが多いです。

 

葛藤型の問題行動特徴

 ・情緒不安定で、何かのはずみに異常な興奮状態になる

 ・『俺を(私を)バカにしているのか』が口癖になっている

 ・ものを蹴ったり、投げたり、暴言を吐いたり、暴力をふるう

 ・家族やヘルパーに対して『ものが盗られた』と被害妄想を示す

 ・周囲から見ると不必要なものをやたらに集めてしまい込む

 ・たいした用もないのに、しきりに人を呼ぶ

 ・異食や弄便(ろうべん:便をいじる)をおこなう

 

<対処のコツ>

コツ1 役割を作る

葛藤型の方はプライドが高く持ち上げられれば気分穏やかに過ごせます、そこで効果的なのが役割づくりです。

現在のその方にできることを把握し何か特別な役割を引き受けてもらいましょう。

その方がりっぱだったことを知り、現在の葛藤を理解する役を介護者が努めれば良いのだそうです。 

「役割」と「人」を通じて、少しずつ現実の自分を再発見し、そのことによって自己像が修正され、葛藤が少なくなれば問題行動が落ち着くそうです。

 

 

コツ2 デイサービス・デイケアを利用しよう

家庭で役割といっても、、、難しい場合はデイサービスやデイケアに行ってもらい、

職員さんとよく相談して、何か役割を与えてもらいましょう。

役割を果たして帰宅した方にはお疲れ様でした!と褒めてねぎらいましょう。

 

 

コツ3 よく観察し不安を取り除こう

ものを集める、人を呼ぶ、異食をする、これらは「孤独からくる不安」が、深く関わっているといわれています。

ものを集めて寂しさを埋めよう、人を集めて寂しさを埋めよう、身体にモノを詰めて寂しさを埋めようとしていると解釈する事があるようです。

不安を取り除き、独りじゃないよと理解させてあげることが大切です。

※この解釈には中には否定的な意見もあるようでしたが、不安はない方がいいし、観察することでその方が何故その行動をするのかが解明されるかもしれないなと思い記載しました。

 

 

回帰型への対応 

回帰型とは、老化や障害を持った現在の自分を認めることができず、過去の自分に帰ることで自分を取り戻そうとするタイプです。

 

最も自分らしかったと思える時代に回帰することが多く、男性の場合は仕事で頑張っていた時代に、女性の場合は育児や家事を頑張っていた時代に回帰することが多いようです。

 

回帰型の問題行動のしくみ

 今がいつで、ここがどこか、自分が何歳かなどがわからなくなる(見当識障害)

身近な人を回帰している時代の人と取り違える(人物誤認)

例)孫を自分の子供の名前で呼ぶ

 徘徊が現れる

例)「家に帰る」「仕事に行く」「子供を迎えに行く」などと言いながら徘徊する

  

<対処のコツ>

回帰型の人に誰か別人に取り違えられたら、介護者はその役を演じ、訂正したり正したりせず共感し、安心感を与えると徘徊がおさまるケースも多い様です。

 

コツ1 しっかり夜は寝かせる

昼間は無理のない範囲で運動を促そう!

散歩やデイサービス、デイケアなどを利用し、身体を動かすことで深い睡眠が得られれば深夜に徘徊することを防げます。

 

 

コツ2 徘徊が起きた場合は安心させて帰らせる

まずは気持ちに共感してみる「それは行かなければならないわね~」など気持ちに寄り添う。

「では帰る前にお茶でも飲みませんか」「何か食べたい物はないですか?見たいテレビは?」

などと気を逸らし徘徊が止まる場合も。

それでもダメな場合無理に連れ帰ろうとしたり、「帰れない」と言うのは不安を煽り逆効果、一度歩きたいだけ歩かせる。

但し会話をしながら。何が目的の徘徊か、どこにいこうとしているか、など聞きながら「遠いみたいですね、明日にしませんか?」「少し休みませんか?」「夕食を食べませんか?」など誘導する。

 

 

コツ3 夜間の徘徊がやまない場合は機械も導入してみる

寝ている間や、気が付かない間に徘徊がはじまり発見が困難になるケースもあります。

 

そのような事態にならない様にする方法として、

介護保険サービスには福祉用具貸与サービスというものがあります。

 

そのうちのひとつに「認知症老人徘徊感知機器」があり、

屋外へ出ようするとセンサーにより感知し、家族、隣人等へ通報されます。

(但し介護保険が利用できるのはセンサー型とマットセンサー型のみ。)

 

通過センサー型・・・赤外線センサーを廊下や玄関などに設置し、誰かが通行すると別室へ警報を発信するもの

 

マットセンサー型・・・センサーマットを室内、廊下、玄関などのどこかへ敷き、誰かが踏んだら別室へ知らせるもの

 

発信機型・・・小型発信機を認知症の高齢者に身に着け、玄関などの決められた場所を通ったら別室へ知らせるもの

 

 

コツ4 頻繁に続くようなら「見守りサービス」を利用してみる

生活の場が離れていて、なかなか直ぐに戻れなかったりする場合など見守りサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

もちろん利用料はかかりますが、ご利用者のニーズに合わせて見守りをしてもらえます。

認知症ケアの訓練を受けているスタッフが在籍しているところを選ぶとよいでしょう。

 

最新の見守りでは、ロボットというもの出てきました!

ケアロボというロボットによる見守りシステムです。

ご興味のある方は下記URLよりどうぞ。

株式会社テクノスジャパンhttp://www.technosjapan.jp/product/tascal/#anchor01

 

 

 

 

 

 

遊離型への対応   

遊離型とは、あらゆることに意欲がなくなり、現実から自分を遮断し、自分の世界に閉じこもることで自分を保とうとするタイプです。症状が進むと食事がとれなくなります。

おとなしく素直で自己主張をしないタイプの人がなりやすい。

 

特に問題行動がみられる訳ではないので、問題がないように思われますが、現実との関係を失うとそのうち、おびえたような表情になり、幻覚が出てくることもあります。

 

遊離型の問題行動

 ・声をかけても反応せず、答えが返ってこない

 ・食事を用意しても自発的に食べようとせず、口に入れても噛もうとしない

 ・入浴をすすめても動こうとせず、着替えを促してもじっとして動かない

 ・1日じゅうブツブツとひとり言を言っている

 

 

<対処のコツ>

コツ1 五感を刺激する!

五感を刺激する身体をつかったゲームを通してリハビリします。

(デイサービスなどのレクリエーションでよく取り入れています)

 

次のような五感を刺激しながら行うと効果的です。

目: 動きがあり、色の鮮やかなもの     

耳: 音、笑い声、応援の声など

鼻: なつかしい匂い               

舌: 好きな食べ物の味

皮膚: スキンシップ               

その他: 体が動くことによる刺激

 

特に高齢者では耳や目が衰えていることもあるが、皮膚感覚は衰えにくいのでスキンシップは有効だそうです。

手を握る、膝に手を置く、肩に手を回す、身体と身体をくっつける、など。

 

まちがいだらけの認知症ケアという書籍にこんな一節があります。

 

「スキンシップは介護者の持っている最大の武器です。

医者の使う薬やメスよりはるかに有効で副作用もありません。」

 

 

コツ2 お散歩など外出をしよう

遊離型のかたは自分のカラに閉じこもってしまいがちなので、積極的に外に連れ出してあげましょう。

自分で歩きたがらない場合は車いすを利用するのも手です。

自分は「生きているんだ」と実感させることが大切です

 

 

以上3つのBPSDのタイプを見ました。

時間の経過により3つのタイプを移行する方がいらっしゃいます。

 

その場合多くは

葛藤型 → 回帰型 → 遊離型

というように移行します。

 

 

 

 

問題行動の原因は認知症の中核症状だけとはいえません、

生活の中に、介護の仕方に原因があることがあります。

 

次のポイントを見直してみませんか。

 

問題行動の原因になりやすい6つのポイント

ポイント1 便秘

問題行動の約半数はこの「便秘」が関係しているという方がいるくらい、適切な排泄ケアを行い便秘を改善したところ問題行動が止んだ!というケースが多くあるそうです。

 

一般に3日便がでないと便秘と定義されるようですが、排便の周期には個人差があり一概には言えませんが、3日くらいでない時には便秘を疑ってみると良いかもしれません。

 

下剤を使用して便秘を解消するかたもいらっしゃいますが、この場合薬への耐性や逆に下痢になってしまったり、問題もあるようなので、出来れば薬に頼らない方法で排泄出来ることが理想です。

 

次のことを見直してみましょう。

生活習慣、食事、水分摂取量(56~65歳 30ml×自分の体重 66歳以上25ml×自分の体重)、腸内環境、食事をとる口の機能の低下(噛めない、義歯が合っていない、歯周病がある)、不眠やストレス、運動不足、薬の影響

 

また、排泄時のクセを探ることでスムーズな排泄を促せるかもしれません。

・朝窓を開けて外の空気を吸うとトイレに行きたくなる

・コーヒーの香りを嗅ぐとトイレに行きたくなる

・本や雑誌、新聞を読むとトイレに行きたくなる

などです。

直ぐに試せることが多いので試してみるといいかもしれませんね。ウインク

 

 

 

ポイント2 脱水

人体は60%以上が水分で、水分が10%以上減ると脱水症といわれます。

脱水になると意識状態に変化が現れ、意識レベルが低下することで、認知機能に支障が及び、認知症が悪化してしまうケースも多く問題行動へつながることも。

 

たった1~2%の水分が欠乏すると意識障害を起こし始め、さらに3%の欠乏は血液循環を悪化させるといいます。

便秘とも密接な関係があります。

 

こまめな水分補給を心掛けたいものですが、水分補給には適切なタイミングがあることをご存じでしょうか。

・起床時

・食事やおやつの間

・運動やお散歩の前

・就寝前

・のどが渇いたとき(これは当たり前ですが、のどが渇くということ自体が水分が不足しているサインです、吸収の良い電解質飲料などを摂取するとよいです)

 

便秘のところで少し記載しましたが、一日の水分摂取量の目安は次のように計算します。

56~65歳 30ml×自分の体重 

66歳以上 25ml×自分の体重

 

その方が70歳で45キロだとすると、

25ml×45=1,125ml(1日目安) ということになります。

 

 

 

ポイント3 発熱

熱があり、身体が不調になることで問題行動をおこします、本人は熱が出ていることを理解出来ておらず、そのせいで身体が不調であると介護者に訴えることができないわけです。

普段から、熱を計る習慣をつけ発熱に気付けるようにしたいです。

 

 

 

ポイント4 慢性疾患の悪化

持病が悪化していないかチェックします。

糖尿病なら血糖値が高くないか、逆に低くないか。

高血圧症なら血圧が高くないかなど。

医療的なケアが必要な場合、適切な処置をしてもらわなければなりません。

 

 

 

ポイント5 季節の変わり目

環境の変化に敏感な認知症の方は多く、それは季節の変化にもいえることのようです。

特に冬から春にかけては、落ち着かず問題行動が出やすい時期と言われています。

季節の変化はどうすることも出来ませんが、ただでさえ不穏になりやすい、問題行動の出やすいこの時期に引っ越しや施設への入所など環境の変化をなるべく避けたほうがよいでしょう。

 

 

 

ポイント6 薬

薬に関してはそれぞれの症状、それぞれの考え方、医師の考え方によって様々ですが、一つの問題行動を治す目的で使った薬が原因で、別の問題行動を誘引してしまうなどといったケースも多くみられることを念頭に、慎重に使用しなければなりません。

また忘れてほしくないのは薬には副作用があるということです。

(薬に関しては別の機会に詳しく調べてみたいと思います。)

 

 

 

タイプ別の対処のコツや日常で気を付けられる問題行動の原因ポイントなど見て参りました。

 

 

先ほどもお伝えしたように、認知症の症状も問題行動の出方や原因は千差万別です、

ここで紹介したやり方では改善しない方もいらっしゃいます。アセアセ

 

そこで、こんなサイトを見つけましたのでご紹介したいと思います。

「認知症ちえのわnet」

認知症ちえのわnetとは、認知症の人におこる様々な症状に対する対応法の

「うまくいく」確率を公開するサイトです。

こちらは、2016年に大阪大大学院医学系研究科精神医学分野講師の数井裕光さん(53)が中心となり開設したサイトです。

数々の体験談と対処法が掲載されており、対処法のうまくいった確率が載っています。

ご自身の体験談をUPして参加してみるのもいいですね♪

 

 

様々な対処法が世界でも試されています、「バリデーション」や「ユマニチュード」などは有名ですよね、今後このブログでも紹介していきたいなと思います。ニコニコ

 

 

今日はこの辺で失礼したいと思います。

いつも最後までお付き合いいただきありがとうございます。

 

 

 

追記:

 

介護者の皆様へ

 

どうかひとりで頑張りすぎないでください。

介護はひとりでは難しいことです。

プロの力を借りるのもひとつ、施設を考えるのもひとつ。

限界まで頑張らなくていいと思うのです。

心も身体も大切にして下さい。

私はいつでもここからみなさんを応援しています。

三宮ゆり