大田区長選挙では立候補者3名のうち、2名が新空港線整備に反対(見直し、住民投票)を公約に掲げています。

 
私も最近質問を受けることが多いので、解説と私なりの考えを書きます。
 
新空港線事業は30年以上議論がされてきた事業です。
この事業に関し、区議時代、私も多くの疑問を大田区に投げかけ、そのたびに区は繰り返し説明を行い、丁寧にお答えいただきました。
過去の大量の議事録も常にネット上にも公開されており、少なくとも区が説明責任を果たしていないと感じたことはありません。
 
昨年東京都と大田区が費用負担割合について合意し、第3セクターが設立され、事業がようやく進み始めました。
総事業費1360億円をすべて区民の税金で負担するのではと勘違いをされている方もいますが、総事業費1360億円のうち大田区の負担分は全体の約2割ほど。年間約20億円くらいの支出で、この事業を行えることになっています。大田区にはたばこ税の税収が年間約40億円もあるのですから、区はその半分くらいの負担でこの事業を行え、財政がひっ迫する懸念はありません。
都市計画交付金や特別区財政交付金を財源として活用することができるので、区の負担はさらに抑えられます。
 
以前から大田区のJRと京浜東北線の乗り継ぎの悪さは課題となっておりました。
例えば大森から京急蒲田に行くにはわざわざ品川まで行き、乗り換えるというのは
交通の便が悪く、大森から大森海岸、蒲田から京急蒲田はともに徒歩15分くらいかかります。
荷物を持って移動となるとさらに時間がかかります。
 
蒲田駅周辺のまちづくりは古く、戦後の都市整備をされて以降、50年近く更新されていません。
都市機能として限界にきており、近年の激甚災害に耐えられる、
災害に強く美しいまちづくりをするためにも、新たな都市整備が必要となっています。
 
区の立場では、まちづくりと連携すること、都の立場からは、大田区の東西交通ネットワークはもちろん渋谷,新宿、池袋、川越方面など広域的な交通ネットワークが構築され、羽田空港のポテンシャルを多くの地域で享受できること。
そして、カーボンニュートラルを推進するには、こうした交通ネットワークを整備し公共交通機関を使っていただくことが重要です。
人生100年時代です。子供から高齢者にも、だれにでも優しい移動手段・公共交通機関として、首都圏の鉄道は、その重要度は増していきます。
京急、モノレール、そして、新たに羽田アクセス新線が計画されてますが,この三本は全て,南北で海側です。東西に広くネットワークを繋ぐことができる新空港線は、事故等の振替路線としても防災上も有効と考えられています。
 
2018年東京都は整備すべき6路線に新空港線を選んでいます。
 
東京都は2018年にその準備基金として鉄道建設基金を創設しました
出典:都知事記者会見資料
  基金の元は、これまで積み立てていた社会資本等整備基金です。2018年度の期末残高約4057億円のうち、東京メトロの配当金として受け取ってきた約620億円を「東京都鉄道新線建設等準備基金(仮称)」として独立させ創設しています。
 
いつまでも蒲田が、住みたくない街ランキング1位でいいのでしょうか?
 
新空港線ができるとストロー効果で、大田区が衰退すると主張される方もいます。
ストロー効果とは、交通網の整備により小都市が大都市に経済圏や人口が吸い取られる現象のことです。
しかし実際に本当にそのようなことが起きるとは考えられません。
大田区の人口は現在73万人、周辺の品川区の人口は40万人、港区の人口は26万人です。
大田区は圧倒的な人口の多さです。
港区は「住みたいまち」ランキングで上位に上がりますが、実際には多くの人が選んでいるのは大田区であり、大田区は「住みやすい街」として選ばれています。
新空港線により、区内移動がスムーズになるだけでなく、埼玉、神奈川への移動も便利になります。
 
また、地下化される理由は、東急がJRを東西にまたぐには地上のJRを通ることができないからです。京急の駅との乗り換え時間が5分30秒ほどかかってしまうから不便と言われていますが、京急蒲田駅周辺には、大きな下水道があり、それを避けるために、協議を重ねその位置が一番ベストという判断になっています。
 
第3セクターも設立され、事業が進んでいる中で、中止にすることの区のリスクは考えているのでしょうか?
青島都政では、世界都市博を中止し、賠償金などに610億円の損出額を出し、東京都の財政を圧迫しました。新空港線を中止にすることによる事業者への影響を考慮すべきです。
 
もはや住民投票で中止にするには遅すぎるのではないでしょうか?
松原区長は過去4回の区長選で、公約に新空港線(蒲蒲線)整備を掲げて当選しており、住民投票はすでに何度も行われているとも考えられます。
 
・区は繰り返しこの事業に関し、説明や情報公開を行っている。
・区民の税負担は年額20億円ほど。
・50年近く変わっていない都市機能の更新が必要。
・利便性の向上は区だけでなく、他の市区にも広く良い影響がもたらされる。
・ストロー効果で大田区が衰退することは人口比からも考えられない。
・松原区長は過去4回の選挙で公約に掲げており住民投票はすでに行われている。
・中止にすることによる損害や影響を懸念するべき
・これまで議会で反対したのは荻野稔議員と共産党のみ
 
大田区議会では賛成多数となり採決されました。
都民ファーストの会としても賛成し、東京都に
自民・公明・都民ファーストの会・超党派で
蒲田のまちづくりの意見書を私も2019年に提出しています。
 
 
大田区のホームページや過去の議事録は常に公開されています。

 

 

解説動画も添付しておきます。

 

これまで全く反対を訴えてこなかった方が、

選挙の前に突然反対(見直し、住民投票)と言い出すのは、選挙目的と捉えられてしまうのではないでしょうか?

 

選挙の前になると区民の不安をあおる様々な情報が溢れますが
まずは正しく情報を理解し、冷静に判断することが大切だと改めて思います。
 
 
おくもとゆり