今年成人を迎えたU18の選手たちは、この7月から選手寮を出ていよいよひとり立ちするため、クラブの栄養士と調理師さんからレクチャーを受けました。

 

 

U18料理教室

 

スペインでは、寮は未成年のためのものであり、成人したアスリートをお預かりすることは概念的にありません。

 

私たちのクラブでは、U18からU19に昇格するタイミングで多くの選手たちが一種のスランプを経験します。

 

それは、これまで衣食住(洗濯、食事、掃除など)至れり尽くせりのサポートを受けてきたものすべてを自分でやらなければならなくなるためです。

 

賃貸の交渉、家賃や光熱費の支払い、洗濯機の回し方、パスタのゆで方まで、こうした社会人としての基本を知らぬまま寮を出ることは彼らにとって悲劇ですし、クラブとしても無責任といえます。

 

料理ができるできないだけでなく、そもそも、身体を資本とする彼らがトップアスリートとして必要な栄養素、量、食べるタイミングなどをきちんと学び、自分の身体は自分で管理マネージメントするという習慣を身につけてもらうことが大切です。

 

そして、「作ってもらう」ではなく、「自分で作る」ことが最も重要だと感じます。

 

主体性を備え自律したアスリートとは、こうした日常生活においても、きちんと準備された選手のことを意味します。

 

寮を出て一人暮らしになってから、パフォーマンスを落とす選手は少なくありません。

 

生活が安定して、はじめてアスリートはパフォーマンスも安定します。

 

決まった時間に寝て、起きて、食事を摂る時間もルーティンが定まり、アスリートが必要とする休息、睡眠、栄養を他者に依存せず自分で取ることができるよう、生活を確立していくことが大切です。

 

そして「選手の成長支援」とは、そうしたサポートをも意味します。

 

ビジャレアルが望む選手像のひとつである「オートノミー(autonomy)」=主体性・自律の理解は、ピッチ上に限らず、あくまで「人」としての包括的な成長支援を意味します。