バレンシア自治州は、人口505万人。
地中海に面し北から南へ
・カステジョン県
・バレンシア県(州都)
・アリカンテ県
の順に3県が連なる。
ちなみに、ビジャレアルはカステジョン県に位置する。
≪サッカー競技者数の増加≫
さて、コロナ禍、外出禁止令が発令されたスペインでは、いずれのスポーツも協会登録者数が激減した。
当時、スペイン北部のある自治州FAで責任ある役職を担う某友人は、「協会登録者数が3万人減になった・・」と悲壮感いっぱいに語っていた。
当時私はJリーグに移籍していたが、とても他人事とは思えず、スペインのそんな苦しい状況を横目に見ながら、本気でスペインサッカーの未来を心配していた。
その後コロナ明けしたスペインでは、私の心配をよそに一気にスポーツが戻ってきた。人々がスポーツに没頭することで、社会に活力が戻ってきたとも感じる。
先日、バレンシア自治州FAから、協会登録数においてこれまでの歴史を塗り替える登録数を更新したと年間報告があった。
ただこのデータには、新創設された未就学児リーグといった新カテゴリーも含まれており、一概に競技者が増えたと謳うことに若干の違和感を感じる。
さらにいえば、未就学児にまで構造化された競技会(リーグ戦)という環境提供をすることに対し、もう少し丁寧に議論・考慮すべきであったと個人的には考えているため、手放しに喜べない自分がいる。
一方、女子競技者数の大幅増加に対しては、心から祝福したい。
具体的には、5年前の女子選手数は5285名だったのに対し、今シーズンは競技者が9444名と大幅増加している。
さらに感じるのは、登録者数といったデータ以上に、私自身の日常の生活において周囲で「女の子がサッカーをする」ということが、急速に「ふつう(普通)」のことになってきているということ。
「競技発展のために重要なことは?」と聞かれるたびに頭に浮かぶキーワードはいくつかあるが、私にとって女子サッカー発展における「意味をもつ言葉」のひとつがこれである。
ノーマライゼーション=「正常化」「標準化」
分かりやすく言い換えると「物事の普通化」とでも言えるだろうか。
「私も同級生の〇〇ちゃんみたいにサッカーしたい!」と思う女子児童。
それを「ふつう」のこととして、サッカーチームを探してあげるご父兄。
女子チームが男子リーグに参戦している「ふつう」の競技会の在りかた。
こうした「ふつう」が「普通」になってはじめて、スポーツの振興や発展は成り立つ。
ビジャレアルCFだけをとってみても、ここ数年で女子部が更に成長している。
人口5万人の小さな町において、小3・4年生チーム、小5・6年生チーム、中1・2年生チームをはじめとし、女子部だけで合計7カテゴリーを有する。
うちだけに限らず、いまでは近隣の人口2~3万人規模の町にも「ふつう」に女子チームが存在する。
「女の子だから」という理由で、地元の少年団に入団拒否をされ続けた私の時代とは、もう違う。
「ふつう」って、やっぱり良いね。