社会主義国家であるキューバでは、食料は配給制である。物資が枯渇しており国民は1日3食しっかり食べることがままならない状況。配給も国内の食料が底をついているようで、牛乳は7歳まで。卵は月にひとり3個。パンは一日ひと切れ。鶏肉などはもう何ヶ月も口にしていないという。

 

Day6、サッカーが大好きな8歳から16歳の子供たち80人ほどが集まってくれ、午前はトレーニング、午後はトーナメント式の即席大会を開催した。

 

子供たちは言葉にならないほど可愛かった。人懐こく、明るく、社交的で愛情表現豊かで、元気でやんちゃでラテンそのもの。と同時に礼儀正しく、お行儀が良く、大人もお友達もきちんとリスペクトする。スペインの子どもと日本の子どもの良いところを、良い具合に備え持っていて、この上ない子どもたちだった。

 

割れたマーカーは縫って繋ぐ。スパイクも縫って繕う。カラーコーンはペットボトルに砂を入れたお手製。トレーニング用ゴムバンドはタイヤのチューブを再利用。ボールは80人あたり3個程度。これが彼らの日常である。

 

この旅は、私の個人レベルで行っているが、ビジャレアルCFも物資提供という形で協力をしてくれている。全員にユニフォームをプレゼントしたら、みんな本当に感激して喜んでくれた。

 

「先生、明日も一緒に練習してくれますか?」「いつスペインに帰っちゃうの?」「またキューバに来る?」

 

「スペインのスペイン語は発音がかっこいい!」「先生は日本語も喋れるの?」「僕は日本のアニメが好きなんだ」

 

ラテンの子どもたちは愛情表現が豊かなので、吸い付くように抱きついてくる。「愛されたい」という思いがとても真っ直ぐで、我々大人たちはその「思い」を、ぎゅっとしっかり抱き締めてあげることで応える。

 

午前の部の後、お昼休憩をとって午後に再集合としたが、午後戻って来た子どもたちに、私たちスペイン勢は「しっかりご飯食べて来たか?」とつい習慣で声をかけてしまった。

 

スペインでは1日5食が習慣であるが、1日3食もままならないこの子たちにとって、私たちの配慮に欠ける言葉はどう響いたのだろう。