今シーズンも終盤に差し掛かり、私たちはすでに来季にむけて始動している。

 

先日は、各領域の合同会議が行われた。会議ではときに議論が白熱する。

 

そんな議論の中、私たちのスポーツダイレクターははっきりと、「ビジャレアルは、どんなに美味しそうなビジネスであったとしても、最優先順位がアカデミー・育成と入れ替わることはない」と、私たちの経営者の思いを代弁した。

 

当然私たちも周知の事実ではあるが、改めてこうしてみんなで再確認し来季にむけてリセットする良い機会となった。

さて、私たちビジャレアルにとっていかに育成が重要かは、これまで色々なところで語ってきたので今日は割愛するが、そんなクラブビジョンを映し出すような年間行事がある。

この恒例イベントは、ビジャレアルに継続して10年間所属した選手を称え表彰するもので、会長、CEO、スポーツダイレクター、アカデミーダイレクターなど勢揃いで開催される。

いってみれば、一種の「殿堂入り」である。

表彰される選手は、これまで応援してくれた家族とともに招待され、みんなで晴れ姿を祝う。

私たちビジャレアルでは、アカデミーを「トップチーム以外の全て」と定義付けている。つまり男子、女子、知的障がい者チーム、すべてだ。

そしてちょうど昨日、その式典がスタジアムで開催された。

この式典は2008/2009シーズンから続いており、すでに500名もの選手が表彰されているが、本年度の10年選手表彰は12名。

久々に女子選手の姿が見えず残念ではあったが(女子選手のプロ化とともにホームグロウンが減っている事実が背景にある)、一方で知的障がい者チームの選手が8名も殿堂入りするという歴史が刻まれた。

私たちのクラブには、EDIと呼ばれる知的障がい者チームが4チームある。総勢90名ほどの所帯だ。年齢は下は15歳~上は60代と幅広い。

EDIの選手の保護者の皆さんは、一様に「この子を置いて先には逝けないんです」と言う。私たちはこの活動を通じて、彼らの「出来ること」が一つでも増えるように、フットボールを通じてアプローチをしている。

昨日行われた式典では、受賞者のひとりである知的障がい者チームのダビッド・プリエゴ選手が、フェルナンド・ロッチ会長にむけ感謝のお手紙を読み上げるシーンがあったので、ここで紹介したい。

 

ダビッド・プリエゴ選手の動画


「ぼくはサッカーのおかげで、遠征に行ったりラリーガ・ジェニュイン(ラリーガ主催の知的障がい者リーグ)で優勝したりと、以前の僕には想像もできなかった経験をすることができるようになりました。夢のような、そして仲間たちと過ごす素晴らしい時間を提供して下さりありがとうございます。」

フットボールクラブを経営するとは、社会をマネジメントすることと同義語なのかもしれない。