ELLE連載にて、

Shefs for the blueを立ち上げた

フードジャーナリストの佐々木ひろこさんに

インタビューさせていただいた記事が

オンラインにもUPされました。

永らく最先端の食を取材してきた

佐々木さんが、ある取材を通して、

海や魚の流通の実態を知り

「伝えなければ」という思いにかられて

シェフたちに働きかけたのがきっかけ。

私達の日々に直結しているのに

知られていないことの多い世界。

是非チェックしてみてください。

 

 

2月24日(土)

今週は4営業日しかなくて、連日締め切り続き。

日頃家には仕事をできるだけ持ち帰らないよう

心がけているけれど、今週ばかりは

帰宅後も原稿を書いて過ごしていた。

 

火曜の夜、「今日もママ、

原稿を書かなくちゃいけないの」と伝えて

パソコンに向かっているのに

2日目ともなると

娘はさみしいのか退屈なのか

テレビを観ながらひっきりなしに

「あの人おかしいよね」

「あれ絶対●●だよ」

などと数秒置きに感想を述べてくる。

そのたびに

「ママ原稿書かなくちゃいけないの」

「ごめん、ちょっと集中させて」

と返していたが、

そのうち返事をするのもやめてしまった。

 

それでもずっと話しかけてくる。

あんまりしつこいので、

「ね−ママ原稿書くって言ってるでしょ?

 早くお風呂入ってきて!」と

強く言ってしまった。

少ししてから、裸ん坊の娘が近づいてきて

まだお風呂に入っていないのか、と思ったら

ノートを手に持っていて、

そこにはこう書かれていた。

 

私も小さい頃に、

母に手紙を書いたことがあった。

晩御飯の支度をしている途中で

急に母がいなくなったことがあって。

不安になって、お手紙を書いて、

母を追いかけたんだった。

 

お母さん、

いつもお手伝いをしなくてごめんなさい

お母さん、いつも口答えをしてごめんなさい

お母さん、ごはんをのこしてごめんなさい

そんなことをたくさん書いて、

小さく折りたたんで、外に出た。

 

そうしたらすぐ近くに母がいて、

ちょっとお散歩してたの、と言われた。

私は母に手紙をわたし、

母の手をぎゅっと握って、一緒に歩いた。

あの時本当に母は

ちょっとお散歩していたのだろうか。

そんなふうにお散歩したことなど

一度もなかったのに。

 

私は母を失うまいと必死だったと思う。

子どもには他に頼る人がいないのだ。

 

 

娘もあんな気持ちになったんじゃないか。

裸ん坊の娘を「ごめんね」と抱きしめた。

 

 

そんな翌朝の、朗読教室。

最初のエクササイズで配られたのは

金子みすずさんの「こだまでしょうか」。

 

みんなで読み合わせたあと、

先生に感想を聞かれ、

昨晩の話をしているうちに

うっかり声をつまらせてしまった。

 

 

私が投げたものを全部受け止めて

彼女は生きていくんだ。

彼女だけじゃない。

「いいえ、誰でも」。

 

ほんとうに、生きるって

難しくてせつない。