7月20日(水)

朝起きるとまず

リビングのカーテンを開けて庭に出る。

鉢に水をやったり雑草を抜いたりして

ゆるゆる過ごしつつ一日が始まる。

昨秋にこの家に引っ越してきて、

もうすぐ季節が一巡すると思うと、

本当にあっという間。

まだそこまで親密になっていない気がする。

まだまだ知り合っている途中。

 

私は年がら年中、

東京R不動産を始めとする物件サイトを見て

そこに住まう人を妄想しているくらい

物件を見るのが好きなのだが、

なかでも、ここの家の動線はかなり好きだ。

 

玄関ホールから中に入ると、

リビング&ダイニングに繋がり、

視線の先はテラス。

左の扉からはキッチン&ランドリーと勝手口へ、

奥の扉からは廊下へつながる。

廊下に出ると右に夫の書斎、

左にはバスルームと続き、

ここにもキッチン&ランドリーとつながる扉も。

そして廊下の突き当りに寝室と子ども部屋。

 

帰って扉を開け、リビングでくつろぎ、食事をし、

自分や暮らしのケアをバックヤードで片付け、

最後に奥の穴蔵で丸くなって眠る。

リビングとその先の窓の開放感と、

廊下の狭さやフットライトの仄かさ、

寝室の薄暗がりの閉塞感のコントラストも

時間経過に伴う心の抑揚に添ってくれるよう。

家がこの自然な流れを作ってくれていることが

思いがけず心地よいのだ。

 

 

間取り図というのはどちらかといえば

パワポで表現されるものに近いのだろう。

だけど私は、ワードで表現できるような住まいに、

惹かれるのかもしれない。

動線に物語があることが重要。

 

 

動線の物語性を楽しんでいるサイトがある。

イエマガというウェブサイトの連載、

「海外ドラマの間取りとインテリア」。

ドラマの間取りを3Dで再現し、

そのインテリアテクニックなどを紹介している。

家の一部だけを使っているドラマもあるだろうし

あえて間取りを感じさせないように

しているケースもあるだろう

えらく不自然な形の家もあるが、空間から、

人々の性格や物語の意図が読み取れて面白い。

 

 

また私が好きで録画予約して見ている

NHK高校講座 美術1 という番組があるのだが

先日のテーマは「建築と美術」だった。

建築家の伊東豊雄さんが

被災地で作ったコミュニティスペースには、

人々の要望を受け、「土間」「縁側」「ひさし」

などを備えた。

先程の話になぞらえて言うなら、

それは機能として必要でなくても、

物語として必要なものなのだと思う。

人生は物語だもの。

 

 

さて。朝のカーテンを開けるまでの話で

すっかり引きずってしまった。

 

日中は表参道にて、新たに登場した、

アプリ診断により算出された

パーソナライズした香りを、

サブスクで購入できるフレグランス

「mila」の体験発表会に。

フレッシュで華やかな香りと出会えた。

 

答えるべき項目数もごく少なくて、

提案される香りもシンプル。

いくらでも情報量を増やすことができ、

いくらでも複雑に見せられる時代だからこそ、

シンプルでむしろ寡黙なこのコミュニケーションが

清々しく豊かに思える。

たまさかの出会いを楽しむ感じが。

 

 

夕方外苑前のシェアオフィスに戻ると

スポット利用で来ていた同業の友人に会い、

また帰り道でもオフィスを出るとすぐ

信号待ちをしていた編集部時代の元同僚に会い。

青山通りももう一つの「ご近所」感がある。

油断大敵でもある。

 

 

そして帰宅。

今日は終業式で、娘は生まれて初めての

通知表を持ち帰ってきた。

学校での様子が垣間見える。

彼女にとっても学校が少しずつ

自分の場所になってきているようで何より。

 

母ちゃんも新しい出会いに揉まれ、

新しいライフスタイルの習得に追われ、

駆け抜けた1学期だったな。振り返ると。

大変といえば大変であるが、

体験型の壮大なエンタテイメントに

参加させてもらっているような感覚もある。

ディズニーランドになど行かなくても

毎日はリアルでエキサイティングだ。