「会社再建に当たって、社長適任者を探したとき、
その準備ができていたのが彼だけだったのです。」

昨夜、テレビ東京の「カンブリア宮殿」に登場した、
カネボウ化粧品社長の知識賢治さん。
当時取締役でもなく、
弱冠41歳だった彼が抜擢された理由がこれだった。

27歳で部署異動をしたとき、それまでの働き方に疑問を感じ、
40歳を基準にした「逆算時計」を持ち歩き始めた。
自費でビジネススクールに通った。
年100冊の本を読んだ。
自分が何のために働くのかについて日々考えた。

「準備ができている」ということは、実は難しい。
いまやっている仕事で評価を得ることよりも、ずっと。


山田詠美は、小説『放課後の音符(キイノート)』の中で
こう言いました。

「きみは、今、すぐ、愛している男の前で
服を脱ぐことが出来るかい?」

主人公のお父さんが、高校生の娘に言ったもの。
「いつ恋に落ちても大丈夫っていう自信のない女は、
むやみに人を好きになっちゃいけないんだ。」
という言葉のあとに。

恋も仕事も、きっと同じ。
準備ができている人だけが、本当に望むものを手にできる。

取締役でもないのに経営の勉強をしたり
恋人もいないのに丁寧に体を磨いたり。

それはときには孤独な作業かもしれない、
無意味に思えるかもしれない、
効率が悪いと感じるかも知れない。

でも、神様なんかいなくても
その答えは、自分が知っているはず。