鏡文字の矯正指導


Yuriaです




小学校で教員をしていた頃の話です



教職に就いて3年目の春


1年生の担任をすることになりました。




子どもたちは


高学年の漢字が書ける子がいる一方で


ひらがなが書けない子もいました。



入学時から既に


書字の進み具合にかなり差がある状態でした。





そこで私は


12組の40人に


ひらがな練習の宿題を毎日出しました。




ノートは


1ページ8864マスのものです。





ニコニコ「あ」を64こ書いてきてね❗️


こんな宿題です。




3日後の朝


教室へ行くと


練習したページが見開きになって


私の机の上に積み上がっています。




私は1冊ずつ点検し


64個の「う」が書かれたページに丸つけ




途中で


R君のノートで手が止まりました



鏡文字だ❗️




咄嗟に


たくさん練習すれば鏡文字は治る


そう思った私は





R君を呼んで


ページの隅に


「う」の正しい形


赤ペンで書いてみせました。





ちょっと困った顔で私を見つめるR君






ひらめき明日までに「え」の他に

 

 2ページ分の「う」も書いてきてね!




おねがいうん


そう言って


ノートを持って席に戻りました。







お母さんには


連絡帳に



鏡文字が見られます


 今のうちに治るように

 

 おうちで宿題を見てあげてください」



と書きました。





翌朝


本人は私が言った通り


128個の「う」と


64個の「え」を書いてきてくれました。




よく見ると


何度も何度も消しゴムで書き直した跡がありました。




お母さんからは


時間がすごくかかりました

 

 何とか書かせました。」


というお返事。





私は、


担任が変わるまでの2年間


疑うことなくこのやり方を続けました。






というのも


R


会話が上手です


絵本を読むのが大好きです


計算もできます(数字が鏡文字になることはありますが)





知的に遅れがないので


鏡文字も努力すれば治る



そう信じていました。



矯正できると信じ続けた指導でした。





でも実際は


その後も


ノートや答案用紙に書かれた文字は


鏡文字になっていたり


漢字の中の棒が1本抜けていたりしていました。





私は字形の間違いを見つけては


その都度赤ペンで訂正し


間違った文字に減点までしていました。





  初めて得た「学習障害」の知見


あれから約20年後(今から10年前)に


スクールソーシャルワーカーになりました。



必然的に


子どもの「発達」に関して学ぶ必要がありました。



その頃は既に


精神医学や脳神経の研究が進んでいて


「発達障害」に関する研修会が


各地で開かれていました。






大阪で受けた研修会で




テキストの目次に見つけた


文字を「書く」ことに困難が生じる学習障害(LD


という言葉




全般的な知能発達に遅れはないのに


書くことだけが著しく苦手


原因は、脳の神経ネットワークの異常


本人の努力不足や家庭での教育が悪いという


周りからの心無い言葉に傷ついてしまうこともある




そう解説されました。



えっ?





この時初めて 気付いたのです 



消しゴムの跡の意味と


お母さんのお気持ちに





知らないということは何と罪深いことでしょう


申し訳なさでいっぱいになりましたショボーン






part 4



Yuria