「もう、あがってもいいですよ。」
スタッフは最近きた見習いの少年にそう声をかけた。

☆★ 緑の縁 ☆★

「ありがとうございます。」
少年はスタッフに会釈し、去ろうとする。

その時、
ま「・・・、大気さん?大気さんじゃないですか?」
まことは見知った相手ではないかと思って、声をかけてみた。
その声に少年が顔を上げると、まぎれもなくスリーライツの大気であった。

大「少し事情があって、しばらくこちらの植物園で
お世話になっているんです。」
きまりの悪い顔で大気はそういった。

ま(そりゃあ、植物園のスタッフがスリーライツだと知られれば、
ちょっと困るよね。)
まことはなんとなく大気の気持ちを察して、
ま「大丈夫です。こう見えても口は堅いんですよ。」
と安心させる口調で答えた。

そのまことの口調に少し大気は安心したようだ。

大「もう、あがる時間なんです。
もしお時間あるなら、少しお茶でもいかがですか?」
ま「ぜひ。」
大「ではすぐに着替えてきますので、
30分後に入り口で待っててください。」
そう告げた。


30分後、植物園の制服から私服に着替えた大気が
入り口にやってきた。

大「お待たせしました。
じゃあ、行きましょうか。」

2人は歩き出した。


近くのカフェに着席した2人は
他愛ないおしゃべりをする。

ま「でも、びっくりしました。
大気さんが植物園にいるなんて。
あ・・・、でも事情は聴いちゃいけないんですよね。」
まことは気まずそうな顔をする。
大「詳細な事情はまだ言えないんですが、
まあ、大まかにいえば、失恋の傷をいやすため・・・
ってところですかね。」
なぜか、ここまでは大気も素直になれた。

星野がうさぎにひかれているのがわかっていながら、
偶然夜天もうさぎにひかれていることを知ってしまった。

実行できはしなかったけど、
星野と夜天を対立させて
そのすきにうさぎを奪ってしまおう、
と考えてしまったずるい自分のことはまだ言えなかった。

ま「失恋・・・。」
まことは言いよどむが、
ま「大丈夫ですよ!失恋のエキスパート、
この木野まことが失恋から立ち直る方法を伝授しますから!」

まことのその勢いに、大気は笑顔を取り戻した。

~~~~~

それからというもの、まことはちょくちょくその植物園に顔を出すようになった。
スタッフに聞き込みをしたところ、
やはりスリーライツの大気が働いてることは一部のスタッフの秘密のようだ。

ま(当たり前か・・・。)

そう考えながら通路を歩いていたところ、
大「木野さん?どうしました?」
大気がいた。

今日は作業着を着ていないので、客としてきているか、
終わった後なのだろう。

ま「あ、大気さん。」

まさかこの間の態度が気になったので、
なんて言えるはずもなく、
でも、うまくごまかせたか自信はなかった。

ま「そうそう、大気さん、園芸部に入りませんか?」
大「園芸部?」
ま「ええ、ここで働いてるなら、その経験を生かして
いろいろみてもらいたい植物があるんです。」
ス「いいじゃないか、やってみたら?」

大気は考えていたが、
大「そうですね、学校の温室もよさそうな植物がありましたね。」
その場で園芸部入部を決めた。

ス「じゃあ、園芸部の入部記念に、ここのバラ、1輪ずつ、
彼女の分も切ってやるよ。
どれがいい?」

大「じゃあ、こちらのピンクのバラを。」
大気はまことのほうを見て、
大「木野さんのピアスと同じピンクのバラ。」
とつぶやいた。

まことはとたんに照れ臭くなったが、
それをごまかすように、
ま「じゃあ、あたしは白いバラが欲しいな。
大気さんがスリーライツの活動してるときに胸につけてるバラ。」
お返しとばかり言ってみる。

大気も少しばつの悪い顔をしていた。
それを見てまことはいたずらが成功した、
とばかりにくすくす笑った。

~~~~~

それぞれ家に帰ってから、
大気はピンクのバラを、まことは白いバラを
一輪挿しにさした。


そして数日後、大気は正式に園芸部に入部した。

スリーライツが園芸部に入ったことで
部長も部員たちもかなり部活にやる気が出たらしい。

今まで幽霊部員と化していた部員も
たくさん活動に参加するようになった。

レ「へ~、大気さんがねえ。」
ま「すごく植物にくわしくて、あたしびっくりしちゃった。」
亜「でも大気さん、知的で静かな印象だから、
園芸ってなんだか似合う気がするわ。」
美「はあ、それに引きかえ、
あたしって植物よく枯らしちゃうのよねえ。」
ため息をつきながら美奈子が言った。

ま「まあ、美奈子ちゃんはちゃんと世話ができてないんじゃないかな?
うさぎちゃんはどうだい?」

う「あたしも植物は自信な~い。」
うさぎと美奈子はよく似ているといわれるが、こういうところまで似ているらしい。

一同は苦笑いを浮かべた。


大気が園芸部に入ったことで、
まことと大気は必然的に一緒に帰ることが多くなった。

たまに、大気の家によっておしゃべりをすることも増えてきた。

まこともいろいろ大気に話せるようになってきたし、
大気もまた同じようだった。

大気の入れるお茶はなかなかの美味で、
まことも入れ方を教わったり、
園芸以外の分野でも刺激を受けることが多くなってきた。


ある休日の日、風雨が強まる、という予報が流れた。

大気はそのニュースを聞きながら
大(温室に何もないとよいのですが・・・。)
と思っていた。


数時間後、だいぶ風雨も強まってきた。

その時、一輪挿しにさしたピンクのバラの花びらが
散っているのを見つけた。

大(この花はまだ散るのには早いと思うのに、いったい・・・。)

そう思った時、
なぜかまことに危険が迫っているような気がした。

大(もしかしたら、風雨が強まるというので、
学校の温室を見に行ったのでは?)

そう思ったらいてもたってもいられなかった。

変身すれば身体能力が上がる、
そう考えた大気は
大「メイカー・スター・パワー・メイクアップ」
セーラースターメイカーに変身し、風雨の中を温室へ向かっていった。

星「大気!」
夜「大気!」

2人の心配する声を背に受けながら。

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pixivにて、先行掲載しています。


こんにちは。Lilac(ライラック)です。

諸般の事情で自宅待機中なのですが、
あさってまでのところが1週間伸びてしまいました。

というわけで、時間ができたので、
スピンオフ第二弾まこちゃん編、書きました。

たいした内容ではありません。
ただ書いただけ。

注意事項を必ずお読みください。



お粗末な作品です、申し訳ございません。
(後で加筆修正する可能性はあります。)