悲しい思いは、もうしたくない。

だから、恋なんてしない、
そう決めていたわ。

あなたと会うまで・・・。

☆★ 赤い星々 ☆★

早朝、火川神社の境内、
レイは、掃き掃除をしていた。

レ「ふう~。」

レイは早朝の空気が好きだ。

気持ちが引き締まる気がする。

石段の上をはいていた時、
ちょうど下を見覚えのある人影が通り過ぎようとしたところだった。

レ「星野くん。」
その声に通り過ぎようとした人影は石段の上を見上げた。
星「火野。」
星野は石段を上がってきた。

星「そうか、ここってお前のうちだったんだな。」
星野はレイの巫女装束を見ていう。

レ「ねえ、今日学校休みってうさぎにきいてるんだけど、
せっかくだから、朝ごはん食べてかない?」

その誘いに星野も興味を示した。


星野が大気に電話をして朝ごはんはいらないことを告げる。

運ばれてきた朝食を見て、星野も驚いていた。
星「すげえ、純和風。それに品数も少なめでストイックな感じするな。」

星野は大気がこの場にいたら、きっと興味を示しそうだと思った。

レ「さ、どうぞ召し上がれ。
ご飯はおかわりあるから、いっぱい食べても大丈夫よ。」
そう声をかけた。

静かな部屋での2人きりの朝食。
たまにはこんな空気感も悪くないなと星野は思った。

夜天とうさぎがつき合い始めて、2か月ほど。

夜天はのろけ話をするタイプではないから、
どううさぎと付き合っているのかまでは、正直わからない。

しかし、いまだに未練たらしく嫉妬の感情を持ってしまう自分がいる。

もしかしたら、今日ここの空気に触れるのも、
その感情を手放すいいチャンスだったのかもしれない、
そう感じていた。

レ「どうしたの?うさぎのことでも考えてた?」
レイにはお見通しだったようだ。

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レ「じゃ、ちょっと待っててね。」
星野からいまだに夜天に複雑な感情を持っていることを告げられたレイは、
せっかくなのでタロット占いをしてあげることにした。

カードとクロスを準備する。

星野に向き合ったレイはカードを切り始める。

レ「現在の位置に死神の正位置が出ているわ。
死神って怖いカードに思えるけど、
ほら、カードの向こう側に朝日が見えるでしょう。
だから、新しい始まりのために何かを終わらせるカードでもあるの。
今、星野くんは新しい人生のために何かを終わらせるときなのね。」

先ほど感じていたことをピタリ当てられ、星野は驚く。

星「すげえな・・・。」
レ「近未来の位置につるされた男が出ているわ。
これは試練というか忍耐強くいることが強いられるカードだけど、
たぶん、その新しいスタートを切っても、すぐにうまくいく、そんな感じではないわ。」

星野は興味深くレイの考察を聞いていた。

レ「でもね、最終結果に星のカードが出ているわ。
希望の星。
太陽のように強く輝く感じではないけど、希望はみえている。
だから、それを見失わないようにしないとね。」

そして、
レ「アドバイスの位置に太陽のカードがあるから、
ポジティヴに、あっけらかんとした態度が必要ね。
きっとそうすればいいことが起きるわ。」
そう締めくくった。

星「ありがとな!」
星野はレイの占い結果に満足し、笑顔で帰っていった。

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大「どうしたんですか?
めずらしいじゃないですか、あなたが考え事なんて。」
大気に指摘されて、星野はほほを少し赤くする。

星「なんだよ、その言い方。
まるでおれがなにも考えてないみたいじゃないか。」

大「そういいたいわけではありませんが、
まあ、珍しいこともあるもんだと思いましてね。」
大気が返す。

大気もかけがえのない仲間だ。
星野のことを心配してくれているのは重々承知だ。

あとは、自分の片思いしてた子と付き合っている
あの銀色の髪の少年のこと。

朝のレイの占い結果を思い出し、ため息ともつかない息を吐く。

今日は3人そろってのグラビア撮影中。
まず3人そろってのカットを撮影してから、
星野1人、大気1人、と撮影していって、
ちょうど今は夜天1人の撮影の最中だった。

トークスキルのあまり高くない夜天は
モデルの仕事に比重を置いているため、
さすがの撮影慣れといったところか。

うさぎのことが頭をよぎり、
複雑な思いをしてきたが、
あの占い結果を聞いてから、だいぶ落ち着いた気持になっていた。

やっぱり自分の心が整理されているのかもしれない。

そう感じながら、夜天の撮影風景を星野は眺めていた。

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pixivにて、先行掲載しています。


以下、pixiv掲載時のキャプションより転載
(原文のまま リンクを除く)

こんにちは。Lilac(ライラック)です。
月夜の二人が完結してないくせに、スピンオフ作ってしまいました。

注意事項を必ずお読みください。


需要のないカップリングですみません。