あゆみの美術作品 2
「一言でまとめないで!
きっとね、昔の人はこうやって、寒さを凌(しの)いでいたのかもしれないよ!」
凌ぎきれねえぇぇ!?
「だって頭にこれだよ!?
しかも女性用って…
…あぁ~、もう!
どう言っていいのか分からなくなってきた!」
これ以上、あゆみを暴走させるわけには行きません。
しかし口論をしていては先が見えません。とりあえず、美術品鑑賞を再開します。
すると、数歩歩いたところで別の作品に目が留まりました。
その作品にはたくましい体つきの男が何十人も取っ組み合い、大人数相撲のような裸ラグビーのような奇妙な光景です。
何かしらの象徴であるかと思いつつ、タイトルを眺めました。
『ボク』
タイトルがシンプルすぎて意味分からねええぇぇぇ――!?
ボクって誰だよ!?
全部作者!?
これもあゆみの仕業!?
すると、僕の視線がその絵に注がれていたことに気づくあゆみは、微笑みます。
「あっ、やっぱりボクの絵だって分かる?」
「本当に!?
君は女の子だよね!?
黙っていれば可愛いのに…
…こんな気持ち悪いことばかりなんて」
正直、衝撃を隠しきれません。
最初からあゆみのイメージが分かりませんが、余計に分からなくなってきました。
すでに人間の域ではありません。
僕は一度首を横に振り、再び絵画に視線を向けました。
それにしても、男たちがリアルすぎて気味悪いです。
そこで気を改めて、その隣の絵を眺めました。
筋肉隆々とした男たちがせめぎあう光景は、どう解釈してもほめられません。
逆に自分が男に生まれてきたことを後悔するほどです。
そして、今度はあゆみが叫びました。
「それなら!
この世ではすでに滅び去って文献にも載らず、すでに架空の存在と呼ばれつつありながらも再現させられた逸品!
この絵は香君を驚かせるよ~!」
十分驚いているよ!
〔つづく〕
登場人物
草薙 香 主人公 健忘症が病的な高等部二年
真田刃(剣) 香の親友(ある事情で兄を演じる香の彼女)
宮司 破魔 眼鏡の学級委員長
西藤あゆみ 迷惑な同級生 時に不思議なことをする
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草薙香の小説 グランディオーソ の紹介と登場人物
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