蒼紺のベール 第七章 翔の逆襲(38ページ) | 緋鷹由理 

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たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

奈津美の災難 1

『大胆不敵で、勝手気ままにやってきた人間ほど、些細なことに臆病になり、自分の理解を超えた、現象が起こると、とたんに脅え始める。

 また、人の幸福をねたみ、人を不幸に陥れることをなんとも思わない人間は、自分に不幸や災難が訪れると、自分のしてきたことに不安を感じ、亡霊まで見てしまうものである

そうだよね、母さん』

『そうね、翔ちゃんの言うとおりね・・・』

 まさに、今の奈津美がそうだった。

 翔はいよいよ、逆襲を考え始めた。何だか知らないが、正月の奈津美の狼狽ぶりは尋常ではなかった。やるなら今だろう。

 翔はまず、美夕の写真を集めた。ほとんどデジカメからパソコンに保存してあるもので、美夕だけを拡大し、30枚ほどプリントアウトした。

封筒に、野川奈津美様と印刷し、美夕の写真を封筒に入れると、宗の家のポストに入れた。

奈津美が写真を見て、どんな反応をするのか楽しみな気がした。

その頃奈津美は、大きくなっていくベールにおびえながら、それでもある日、ベールは揺れているだけで、何もしないと、いう事に気づき、それからはベールのことは、出来るだけ、気にしないようにした。

だが奈津美にはもう一つ、美夕が見えてしまうという、難点が残っていた。

翔は、写真の効果が気になり、廊下のサッシから、身をかがめて、奈津美を見ていた。

すると、由宇とその友達が数人、翔と同じように身をかがめ

「お兄ちゃん、なにしているの?」

と訊ねてきた。友達数人も、翔をお兄ちゃんと呼んでいた。

「奈津美を見ているの」

「なんで?」 

「お兄ちゃんの趣味」

「ストーカー?」

と由宇たちがいうと

「馬鹿、奈津美をストーカーしても面白くないでしょう。見ているだけだよ。」

「やっぱり、ストーカーだ」

と、いっていると、奈津美がこっちに気がついた。全員一瞬身を潜めた。

登場人物

 高原 美夕(みゆう)     母親、病死して幽霊になる

 高原 翔(しょう)       長男、中学1年

 高原 麗美(れみ)   長女、小学6年   

 高原 由宇(ゆう)      次男、小学2年

 高原 亜姫(あき)     二女、幼稚園5歳

 高原 礼(れい)       祖父、(有)たかはらの社長

 高原 ユミエ        祖母、

 高原奈津美(なつみ)    後妻

 高原 宗(そう)      父親、(有)たかはらの専務

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