蒼紺のベール 第七章 翔の逆襲(39ページ) | 緋鷹由理 

緋鷹由理 

たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

奈津美の災難 2

全員一瞬身を潜めた。

が、顔を上げると、こっちを見ながら、突っ立っている奈津美の姿が見えた。

「何してるの、奈津美?」

と由宇が翔に聞いた。

「奈津美はね、由宇を見て怖がっているの」

と冗談をいうと、由宇はいきなり立つ上がり、

「もう、ぼくお兄ちゃんのストーカーには、付き合っていられない。」

と言った。

 奈津美は由宇が立ち上がるのと同時に、今度は座り込んで、じたばたし始めた。

「お兄ちゃん、暗くなってきたから、ぼく達もう帰るからね。」

と言うと、由宇と友達はその場を離れた。

 あまりにも、じたばたしている奈津美の様子が気になり、翔は、奈津美の側に行って、

「どうしたの、奈っちゃん」

と訊ねた。

「餓鬼が・・・餓鬼が・・・美夕さんが、餓鬼を連れて来た・・・」

奈津美には、翔と由宇たちの姿が、地獄絵図の餓鬼に見えたのである。翔は

「そうだね、家中を取り囲んでいるよ、もう、外には出ないほうがいいね。」

「私が、何を、したって、言うの・・・」

「さあ?何をしたんだろうね。よーく、考えてよ・・・」

そういうと、翔はその場を去った。帰りに、宗の車とすれ違った。

今頃はまた、奈津美の変貌振りに、宗が慌てている頃だろうと思った。

 翔の届けた写真は、随分効果を発揮したらしく、まるで紙ふぶきのように小さく切り刻んで、そこら中に散らばっていた。

登場人物

 高原 美夕(みゆう)     母親、病死して幽霊になる

 高原 翔(しょう)       長男、中学1年

 高原 麗美(れみ)   長女、小学6年   

 高原 由宇(ゆう)      次男、小学2年

 高原 亜姫(あき)     二女、幼稚園5歳

 高原 礼(れい)       祖父、(有)たかはらの社長

 高原 ユミエ        祖母、

 高原奈津美(なつみ)    後妻

 高原 宗(そう)      父親、(有)たかはらの専務

**:;;;:**:;;;: **:;;;:**:;;;:**:;;;:**:;;;: **:;;;:**:;;;:**:;;;:**:;;;: **:;;;:**:;;;:

草薙香  グランディオ・学園祭

http://ameblo.jp/kusanagi-kaori

息子の小説です、是非訪問お願いします。

私の父 草薙香のお爺さん

http://ameblo.jp/nishiono/